だがこういった業界の慣習も、見直されつつある。特に旅館業法で営業するラブホは、大手宿泊サイトなどに登録し、そこから予約客を受け付けるようになっている。この形態のホテルが「Go To トラベル」で3500円の公費助成が受けられるラブホである。大体において、ラブホ界隈にあっては立地の別なく平日で1泊1万円を超えてくるラブホは、準高級の部類に入る。
これが「Go To トラベル」で3500円の助成が受けられると、額面上は6500円となる。平日で1泊6500円となると、ラブホのメッカ・新宿歌舞伎町の最も安価なCゾーン(第6回“ラブホ格差地帯”新宿歌舞伎町の正しい(!?)歩き方参照)の水準である。たかだか3500円の差ではないか、という意見があるが、ビジネスホテルの3500円の差と、ラブホテルの同額の差の違いは、合皮と本革くらい違うから試しに泊まってみることをオススメしたい。
平日1泊6500円のラブホテルと、1泊1万円のラブホテルでは壁紙はおろか、隅々のアメニティ、VODの質的充実、浴室テレビやミスト(サウナ機能)の有無まで、何から何まで違う。エコノミーとファーストクラスの違いよりも違いを実感できること請け合いである。3500円の差とはこれほどのものかと理解していただけよう。1泊1万円を超えるラブホは当然の事ながら中産階級に向けられたもので、筆者の様な「独りラブホ道」を極めるものとしては、滅多なことでは利用しない。
しかしそれも官が3500円を補助してくれてクーポンも出るのならば、この際郷に入りては郷に従えで泊まる価値は十二分にある。「Go To トラベル」の最も有効な活用方法は、本来手の届きにくかった1泊1万円以上のラブホに実質的に6000円~7000円程度で泊まりまくり、我が国宿泊サービスの粋を集めたラブホを存分まで堪能するところにあろう。その一点に於いて「Go To トラベル」にも価値はあるかもしれない。