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トランプ氏が猛追?「反差別より治安」を願う“隠れトランプ”が掘り起こされた皮肉

バイデン候補は、失言癖でBLM支持者をまとめきれていない

 対するバイデンはBLM運動を支持する姿勢を見せているが、失言癖の影響でBLM運動参加者の支持をまとめきれていない様子だ。 5月には黒人の若者たちに人気のあるラジオ番組のインタビューで、「私とトランプのどちらを支持するべきか迷うようでは黒人ではない」と発言して、人種差別だとバッシングを受けた。8月6日はオンラインイベントで「ヒスパニックの社会は黒人と異なり、信じられないほど多様だ」と、黒人社会が多様性を受け入れていないとも取れる発言をして批判を浴びた。
 その1年前の2019年8月には、ヒスパニック系有権者が多く集まったアイオワ州の集会で「貧しい家の子供たちも白人の子供たちのように輝いていて、才能を持っている」と話し、「白人至上主義者のような発言だ」と批判を浴びていた。繰り返される失言に、民主党も頭を抱えている。  唯一の希望は分断を埋めるべく、副大統領候補に指名したカラマ・ハリスだ。ハリスは父がジャマイカ、母はインド出身の移民2世で、「黒人社会のアイデンティティを持って育った」と言っている。大学は黒人のエリート大学として有名なハワード大学である。バイデンがBLM運動に関して積極的に発言しないなか、ハリスは初の会見で「黒人の命は大切。希望を持ってチャンスを掴みましょう。私を信じて」とBLM運動への支持を表明した。バイデンはともかく、ハリスは支持するという有権者も多いだろう。

「とにかく治安を守って」という人が“隠れトランプ”に

 最も多くの暴動が発生しているオレゴン州ポートランドでは、昼間から抗議者が破壊行為に手を染める事件が頻発している。 トランプはここを攻め立てる。「暴動が起きている場所は民主党が首長を務めているところだけだ」と批判し、「俺に助けを求めたら、いつでも暴動を治めてやる」とBLM運動参加者を煽るような発言を繰り返している。
BLMマイアミ

BLMのデモに備える警官。マイアミ、2020年6月12日

 これは「黒人に対して白人警察の対応は度を越しているが、自分の町の治安が悪くなるのは嫌だ」と考える潜在的な隠れトランプへのメッセージだ。トランプを支持すると表明すれば、身の危険を伴う可能性がある。治安の悪化に頭を悩ませる人々は、おのずと隠れトランプになっていくのだ。
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軍隊の派遣に58%が賛成
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明治大学卒業後に松下政経塾に入塾。プリンストン大学、ジョージ・ワシントン大学で客員研究員を務めた。’11~’14年まではアメリカの大手保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」でアジア人初の上級研究員として活躍。’16年から東洋大学グローバル・イノベーション学科研究センターで客員研究員、’17年から同大学教授に。’16年に出版した『崩壊するアメリカ』でトランプ政権の誕生を予想するなど、アメリカ政治に関する著書多数。近著に『隠れトランプのアメリカ

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隠れトランプのアメリカ

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