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政権に媚びて商売をしようとする“ビジネス保守”言論人たち/倉山満

本気で改憲を実現しようなどと考えていない産経文化人たち

 私が既存の「保守」と絶縁する直接のきっかけは消費増税をめぐる意見の相違だったが、遠因は他にある。この年の四月二十九日、産経新聞は独自の憲法案を発表した。これを私は即日、自分のブログでこきおろした。のみならず、チャンネル桜を通じて、「この案の執筆者五人まとめて相手にしてやるから、一対五でも構わないので公開討論で勝負だ!」と持ち掛けた。そして公開討論は実現し、執筆者から百地章日本大学教授(肩書は当時。以下同じ)と佐瀬昌盛防衛大学校名誉教授、それに何の関係があるのか八木秀次高崎経済大学教授が出演した。 倉山満氏 政権に媚びて商売をしようとする輩たちをここで私は、大意「全一一七条中、読めるのは二条のみ。他の一一五条は論評に値しない」と罵倒した。どれくらい論評に値しないか。執筆者の誰よりも、私の方が条文を読み込んでおり、問題点を指摘できるのである。執筆者の産経文化人一同、条文の中身などどうでもよく、ましてや本気で改憲を実現して国を良くしようなどと考えていないのである。  この討論の直前の番組で、執筆者の一人である田久保忠衛杏林大学教授が産経憲法案の意義を滔々と述べていた。結果は散々で、当時のチャンネル桜の視聴者からは、産経文化人一同が老害であるとの批判が殺到した。

政権に媚びて商売をしようとする輩たち

 もともと私がチャンネル桜に出演したのも『正論』に寄稿したのも、「安倍救国内閣」によってデフレ脱却、そして最後は戦後レジームの本丸である憲法に取り組んでもらいたく、その為の言論活動だった。久しぶりの「保守」っぽい政権である安倍内閣で舞い上がる、あるいは政権に媚びて商売をしようとする輩とは、同床異夢だったのだ。  狂信的な護憲派は、「日本国憲法を一文字も変えたくない。特に九条は」と考える。同じように、改憲派は「日本国憲法を一文字でも変えたい。特に九条は」と考える。思考回路が同じ穴の狢なのだ。そこで私が「ご老人方は若者は憲法改正に興味がないから愛国心が無いなどと仰るが、デフレで生活が貧しくて憲法どころではない、オタクらの集会に行く電車賃もない若者に向かって愛国心が無いなどと言えるのか」などと反駁しても、概念として想像できないのだ。  こうした「保守」の先輩たちを露骨な態度で小馬鹿にする私は、そもそも異分子であったのだ。決裂は時間の問題だっただけだ。『保守とネトウヨの近現代史』
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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