更新日:2020年11月28日 09:15
エンタメ

金髪モヒカンの27歳がつくば市議に。「勝手につくば大使」は、なぜ当選できたのか

 今年10月、茨城県つくば市に「金髪モヒカン」の市議が誕生した。彼の名前は、「勝手につくば大使」こと小村政文氏(27)。その風貌から当選後、テレビにもたびたび取り上げられ、Twitterではトレンド入りもした。「なんでこんな若者が市議に当選?」という声もあるかもしれない。
勝手につくば大使

今年10月の選挙期間中、演説をする「勝手につくば大使」こと小村政文氏(27)

 その理由を探りに、つくばまで本人に会いに行ってきた。

金髪モヒカンの青年が選挙に立候補した理由

 勝手につくば大使(以下、大使)は、筑波大学在学中の2015年から、市の公認を得ずに「勝手に」大使としての活動を開始した。活動内容は主にフリーペーパーの発行(現在は第5号を制作中)と市の魅力を伝えるブログの運営。ブログは自ら現場に赴き取材をするというスタイルで、すでに約700記事を配信している。もはや狂気といっても過言ではない。  さらに大使の狂気は、その活動費をすべてアルバイト代でまかなってきたという点にある。3年前に日刊SPA!で配信された記事『収入は3年間で2万円、茨城限定の有名ブロガー「勝手につくば大使」の過酷すぎる生活に密着』でお伝えしているように、相当な苦労人だ。その金にならずともめげずにコツコツ活動してきた姿を、つくば市民は5年間ずっと見てきている。
取材の様子

アルバイト代でひたすら街を取材してきた

街を歩けば「大使!」と声がかかる

 大使がこれまで関わってきたつくば市民の数と信頼の厚さは計り知れない。街を歩けば、「大使!」と市民から声をかけられる。大使のブログを見ながら、「今日はつくばで何をしようかな」と予定を立てる市民も多い。全国的にはまだ無名ではあるが、つくば市というフィールド内では驚異的な知名度を誇るのだ。市議会議員選挙への立候補は、むしろ「満を持して」という感じがあるが、その動機は一体は何だったのだろうか。 「私は名前の通り、これまで“勝手に”大使としての活動を続けてきました。議員になることで勝手にできていたことができなくなるという不安もあります。しかし、どんな制約があるかわからないうえに、議員にならないとできないことが山ほどあるんじゃないかと考えました。これまでの大使としての活動に、議員としての活動もプラスすることで、さらにつくばを理解することができる。つくばのために自分ができることは何か、それが見えてくると思っています」
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合計31万円、とにかく金がない大使の選挙活動
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元週刊誌記者、現在フリーライター。日々街を徘徊しながら取材をしている。著書に『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)。Twitter:@onkunion

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