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競馬予想の新たな潮流「クッション値」を紐解く

クッション値を用いたデータ公開!

 と言っても、競馬新聞に載っているのは、良~不良の4段階の発表を用いたものであり、まだまだクッション値を使った予想はしにくい状況である。そこで今回は、筆者が記録してきた全クッション値のデータを紹介していくことにする。以下のデータを参考に、レース当日に発表されるクッション値と見比べて、予想の参考に用いていただきたい。良~不良発表時のクッション値の平均は、以下のようになっていた。 【馬場発表とクッション値】 良:9.7 稍重:8.9 重:8.0 不良:7.1 (データは2020年9月12日~2021年1月11日)  当然だが、馬場が悪化するにつれて、クッション値も低くなっていく。これらの数値をもとにすれば、例えば同じ稍重発表でも、「重に近い稍重なのか、良に近い稍重なのか」という判断をすることもできる。次に、同じ良馬場でも、クッション値が10.0以上の時と、10.0未満の時に分けて、種牡馬の成績を見ていく。要するに、硬い良馬場の時に強い種牡馬と、柔らかい良馬場の時に強い種牡馬は違うのではないか?という推測だ。 【種牡馬名・10.0以上時の複勝率・10.0未満時の複勝率】 ディープインパクト 33.9% 36.2% ロードカナロア 28.3% 24.1% キズナ 30.9% 43.0% ハーツクライ 23.9% 25.6% ダイワメジャー 25.5% 21.1% モーリス 31.7% 37.1% ドゥラメンテ 29.2% 27.3% キングカメハメハ 22.2% 34.9% エピファネイア 31.6% 30.5% ルーラーシップ 20.4% 30.8% リオンディーズ 30.0% 41.3% ヴィクトワールピサ 16.4% 17.6% オルフェーヴル 23.1% 22.2% スクリーンヒーロー 26.7% 22.1% エイシンフラッシュ 12.5% 26.0% ノヴェリスト 20.6% 16.9% アドマイヤムーン 22.7% 24.2% ジャスタウェイ 25.6% 21.7%  例えば、ルーラーシップ産駒を見ると、同じ良馬場でも、時計の出やすいクッション値10.0以上の時は、複勝率20.4%。10.0未満の時計が遅くなりやすい馬場の時は、30.8%にまで上昇する。上記に記載はしなかったが、複勝回収率でも、クッション値10.0以上の時は、61%、10.0未満の時は108%にまで上昇する。  エイシンフラッシュ産駒も、同様の傾向が見られる。柔らかい良馬場の方が、複勝率が2倍以上ある。複勝回収率も、クッション値10.0以上の時は27%、10.0未満の時は86%に一変する。新種牡馬でもあるドゥラメンテ産駒は、硬い馬場を好む傾向にある。複勝率も、クッション値10.0以上の時の方が高い。複勝回収率は、クッション値10.0以上の時が92%、10.0未満の時が52%。ちなみに単勝回収率は、同169%と67%で、さらに開きがある。

馬場状態は予想の重要なファクター

 当記事で全種牡馬の解説をすることはできないが、上記のように、同じ良馬場でも、異なる傾向が出てくることはお分かりいただけたと思う。かつてからある、良~不良の馬場発表だけでなく、クッション値にも注目することで、より馬場を用いた予想を楽しむことができるのだ。  クッション値の欠点を挙げるなら、芝のレースしか使えないこと、そして値が発表されるのはレース当日の朝だけ、という点だ。発表されているのは、あくまでレース前のクッション値であり、天候の変化によって馬場が変わっても、正確なクッション値を知ることはできない。そのため、現状ではレース中に天候が大きく変わった日には、クッション値のデータも十分に使えない。  最後に……JRAさん、クッション値も、良~不良のように、随時更新することはできないでしょうか。または、4レース終了後の数値や、最終レースが終わった後の数値など、変化がわかる指標があると、さらにクッション値の有用性が増すと思います。何卒よろしくお願いします!
元「競馬エイト」トラックマン(栗東担当)。学生時代には中央、地方を全場渡り歩き、フランス、香港、ドバイまで駆け回っていた、根っからの現地観戦好き。『競馬伝道師』として週刊大衆やモンドTV「競馬バトルロイヤル」などでも活躍している。
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