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カーシェア投資に1000万円つぎこんだ男。高級車2台がローンだけ残して消えた

被害が被害を生むカーシェア投資の悪質な部分

カーシェア投資

元手が実質0円でと謳っているが、ローンを組む以上借金は残るのだが……

 今回Sグループによるカーシェア投資の被害者たちの代理人となっている加藤博太郎弁護士に話を聞いた。 「昨今の詐欺事件では、ネットワークビジネス化しているものが多く見受けられます。紹介料が得られるため、友達・知人を紹介していくため、被害が短期間で急速に広がりやすいのが特徴です。ですが、詐欺が露呈したときに、ピラミッドの下の人たちの人間関係が壊してしまう面も持っています」  そして、知人に紹介をしやすくするためにある工夫が設けられているという。 「世の中で話題になっているものが狙われやすいんですね。これまでにもシェアハウス、仮想通貨などが狙われてきました。時代の潮流を盛り込んで詐欺的スキームを作るのがうまいんです。今回も、カーシェアそのものが伸びているのは事実です。若者の車離れがメディアで叫ばれているなど、時事的な話題もありました」  だが、今回のカーシェア投資ではこれまでにない被害が生まれているという。それは「高級車」「車」といった商品を投資対象にしていることで起きていることだ。 「実は、すでに二次被害が始まっているんです。Sさんの場合は、貸し出された車を返して欲しいと、現在使用していると思われる人に連絡をしたところ『テメー、ふざけんな。いつ返すかなんて聞いて、どうするんだ。詰めるぞ、こら』と突然怒鳴られました。明らかに一般の方ではないタイプの人が使用しているんです」

駐車違反の反則金や駐車料金の延滞金をオーナーが負担

 また、別の車では警察から駐車違反の連絡が所有者である投資家のもとに届いたこともあったという。その車は、銀座のクラブ街に路上駐車されていたとのことである。 「オーナーさんは『罰金1万8000円を泣く泣く納めました。でも肝心の車は手元に戻ってこないんです』と、相談が来ました。おそらく現在もその車は違反した人が使っているのではないかと思われます。銀座で張り込みしていれば取り返せるかもしれませんが現実的ではないですよね。違反は他にもあり、『自分の車が、コインパーキングに2か月放置されていたと駐車場管理会社から連絡が来て、30万円近い金額を支払えと言われたけれどどうしたらいいか』と相談されたケースもありました」  つまり、今回のトラブルを機に、さらなるトラブルが起きているのだ。 「いわゆる飛ばしの携帯って犯罪に使われるケースがありますよね。Sグループが破綻した今、管理されないまま貸し出されている車は、いわば“飛ばしの車”です。犯罪に使われる危険性もあるため、一刻も早く回収しなければなりません」  大きな事件が起こる前に、解決するのを祈るばかりだ。
フリーライター。性風俗、女性問題、金融犯罪などを中心に執筆。未婚で1児を出産後、結婚。3児の母。愛人に走る女性をルポした『副業愛人』など著書多数。女性のお金や生活事情に関するルポ、詐欺事件を多く扱う。性とお金に対する欲望と向き合う人間をフィールドワークし、取材執筆を続けている。日本プロダクション協会の監事も勤めている
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