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<純烈物語>288日ぶりの有観客ライブに込められた「80%でも純烈は前に出る」という姿勢<第81回>

恒例の1・4新日東京ドーム大会で目の当たりにしたもの

 年が明けて1月4日、酒井家は恒例の新日本プロレス東京ドーム大会を観戦。昨年はテレビ中継のゲスト解説席に座ったが、今回は通常通りスタンド席に戻った。目の前に広がった情景は、まさに神々しいという言い回しが当てはまるものだった。ソーシャルディスタンスを取り、1席ずつ空けた上で1万2689人もの観衆が集まりながら本当に誰一人として歓声、声援を飛ばすことなく、ひたすら拍手のみで選手を応援しているのだ。  あまりに無音のため、リングサイド最前列で実況しているテレビ朝日アナウンサーの声がスタンド席にいても聞き取れたほど。谷原章介、秋山準、そして「マッスル」時代の盟友であり、東京ドーム大会のメインを務めIWGPヘビー級&IWGPインターコンチネンタル2冠王となった飯伏幸太、さらにはDDT後楽園ではスーパー・ササダンゴ・マシンも社長の高木三四郎も、みな「やり続けていた」。  コロナ禍でも止まっていない人たちの輝く姿と、それを成立させるために協力するファンとの関係性は、ライブ再開に向けて大きな刺激となった。もちろん純烈も同じでありたいという思いを、酒井は強くした。  1月7日、平日の日中にもかかわらずグリーンホール周辺は多くのマダムの姿が見られた。密を避けるべく、コンサート開始4時間前の午前10時よりグッズ販売を開始。彼女たちが乙女に還ったかのごとく目をキラキラさせる光景は、コロナ前となんら変わらない。  事前にホームページ等を通じコロナ感染対策を呼びかけ、現場では検温とアルコール消毒を実施。開場と同時に小走りで入り口を抜けても、除菌液が設置されたテーブルの前でみな一度立ち止まり、手に噴きかけてから客席へと向かう。  開演前、協力を呼びかける場内アナウンスは、メンバー4人によるものだった。この方が「白川さんに言われたらちゃんと守らなければ!」となる。

メンバー4人による開演前の場内アナウンス

純烈グリーンホール2「一緒に歌ったり、好きなメンバーの名前を叫びたい気持ちはとっても嬉しいのですが、今日はその気持ちをグッとこらえて声を出さずに心の中で声援を送ってくださいね」(白川) 「前後左右のお客様との接触をなるべく避けるためにも、最後まで座ったままでお楽しみください。ペンライトを振っての応援は自分の体の範囲内、横は肩幅、上は頭の高さぐらいまでコンパクトに振っていただけると嬉しいです」(後上) 「コンサート中も引き続きマスクの着用をお願いします。換気のための休憩は特に設けませんが、MCの時など随時、扉を開けて換気をおこないます。温度が下がるかもしれませんので、扉付近のお客様は上着などをすぐ羽織れるようにしておくことをお勧めします」(小田井) 「コンサートが終わってお帰りのさいは規制退場とさせていただきます。終わってもすぐには立ち上がらず係員の誘導をお待ちください。以前のようにコンサートを思いっきり楽しめる時が早く来るように、今日は以上のことを守っていただきながら楽しんでいただけたらと思います」(酒井) 「ご協力、よろしくお願いします!」  見事なまでの呼びかけっぷりである。これに加え2階席後方は自由席とし、極力ディスタンスを取れるようにもした。  延期された公演とありスケジュールが合わずキャンセルとなった席、いきたいのは山々でも自己判断や家族の承諾が得られず足を運ばぬ選択をした赤いイスも目についたが、言葉には出さずともようやく純烈と再会できる期待感は満席に匹敵するほど充満していた。  そんな中、4人は年末の紅白歌合戦で着た赤と白の衣装で登場。あの日から連動するかのように『愛をください~Don’t you cry~』で再開&再会ライブはスタートした。 撮影/渡辺秀之
(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。
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