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<純烈物語>純烈の原動力は「夢と表裏一体の欲」<第80回>

純烈ライブ

<第80回>夢と表裏一体の欲が純烈の原動力配信番組『純烈ものがたり』を経て

“欲”という文字を目にした時、半数以上の人がネガティブなイメージを抱くと思われる。物欲、金銭欲、性欲……これらの言葉はあまりいい意味で受け取られず、人間を狂わせるタネとして、道徳的観点においてはヒール(悪玉)に位置づけられる。  だが、一方では自身を突き動かす原動力となるのも、この欲。勝ちたい、ほしい、達成したい……これらは正当な理由として市民権を得ている。  どこまでが善でどこからが悪なのか。人前で何かを表現することを生業とする者は、その世界で勝ちを求める。そうでなければ生き残れず、続けたくても続けられなくなるからだ。どちらにも転ぶ取扱注意の欲というシロモノを、ポジティブな力として生かせるかはその人の才能による。  どこをどう切ってもポジティブさがパブリックイメージの純烈ではあるが、酒井一圭に言わせるとその原動力はやはり「欲」になるのだという。彼は、それをはばかりなく口にできるプロデューサーだ。 「夢は紅白、親孝行」という“社訓”自体が欲そのもの。支持率の高いさわやかな顔をした一文字の背中には、とっぽいツラ構えの漢字が常にピタッと貼りついている。

「2020年を乗り越えられたのは“欲の力”」

「2020年という一年を乗り越えられたのは俺だけじゃなく、ほかのメンバーやスタッフ、いろんな人たちの欲が結実したからだと思う。人の欲を集約してパワーにするのが俺は得意だからメンバーに何がほしいんだ、何がしたいんだということを聞くよね。それを即答で答える人間を戦力にして、ぼやっとした答えしか出ないやつはタイミングを持つ。そこは明確に見えている人の方が明確に手応えをつかめて、次も……となれるからね」  欲に対し忠実であり、うしろめたさなく語れるのは目の前の現実に対し真摯な人間か、そのベクトルが他者ではなく自分にしか向いていない……つまりは私欲に囚われた者のいずれかだろう。紅白=みんなで喜べる場、親=他者というワードがそこに在る時点で、ファンは純烈を前者とみなすことができる。  1度目が実現すれば2度目、2度目が達成できたら3度目と、純烈はさらなる欲を持ち続けることで3年連続紅白歌合戦出場を果たせた。最初に夢がかなった時点で、もういいですとなったらその先は描けていない。  紅白以外で、それを実感した瞬間が2020年の夏にあった。FOD(フジテレビオンデマンド)で配信されたドラマ『純烈ものがたり』の撮影が終わりに差しかかったあたりで、酒井はこんなことを思った。 「毎回、たどり着いた瞬間はもういいだろうと思う。そこが最高だから。でも『純烈ものがたり』もまたやりましょうとなれば、今回頑張ってくれたスタッフの皆さんとまた会えるだろう、そうなったら俺も宣伝頑張ってみよう……そんなことが次々と浮かんできながら最後の撮りをする自分がいたんです。 『マッスル』をやっていた時もマッスル(坂井)が鈴木みのるさんのような大物と闘ったり、蝶野正洋さんに張り飛ばされたりするのを見ながら『ああ、終わっちゃうな……またこれが続けられたらいいのに』と思いながら、リング下から頑張れ!って叫んでいた。だからどの現場も、それの繰り返しなんだろうね」
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自身が役者の限界を感じたドラマ製作者からのオファー
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(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

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