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東京で売れなかった芸人が“名古屋進出”でブレイクしたワケ

デラスキッパーズ町田

オンラインで取材を受けるデラスキッパーズの町田康介さん。現在は名古屋で活躍中

東京から名古屋に“進出”して成功をつかむ

 SNS社会となった現代を生きるお笑い芸人は、YouTubeやインスタグラムなど、活動の場が多様化している。ひと世代前はメディア出演やライブなどの活動が主な収入源だったが、新型コロナ以降はYouTubeチャンネルを持つ芸人も急増し、売れ方の幅も広がった。逆に幅が広がった分、手をつけている人が少ない、いわば“ブルーオーシャン”のジャンルは減り、お笑い芸人にとって売れるための新しい一手を探し当てるのが難しい時代になったとも言えるだろう。  そんな中、3年前に活動拠点を名古屋に移し、成功を収めているお笑い芸人がいる。お笑いコンビ「デラスキッパーズ」の町田康介さんだ。元々名古屋出身の町田さんは、2007年に中学の同級生だったトシボーイさんとコンビを結成。芸人を目指して上京し、ワタナベコメディスクールを卒業後、10年間は東京で活動を行っていた。  しかし、なかなか芽が出ない状況が続いたため、2017年思い切って拠点を地元名古屋に移すことに。その決断が大きな転機となり、3年経った現在は毎日仕事に追われる日々を過ごしているそうだ。そんな町田さんに、3年前に名古屋に拠点を移した理由や、東京と名古屋のお笑い文化、地方芸人としていきていくために必要なことなどを伺った。

名古屋で芸人をしているからこそ目立てる

――東京から名古屋に拠点を移した理由はなんだったんでしょうか。 「東京は本当に芸人が多いんです。芸歴が8年目あたりからオーディションすら貰えなくなって、年に一回のM-1にだけ懸けているという状態というか……。毎年1枚の宝くじを買っているような気分でしたね。だから10年やって東京で頭ひとつ抜けなかったんだから、やり方変えなきゃなと思い、プラスの気持ちで名古屋に来ました。 僕らは名古屋出身ですが、名古屋で結成して活動して東京進出というわけではなかったので、戻ると言うよりも『行く』という感じでした。気持ちとしては屯田兵のような(笑)。『未開の地だからこそ金脈が眠っているぞ!』というワクワクした気持ちが強かったんです」 ――テレビ番組や雑誌などのメディア、舞台やイベントなど、芸能関係の仕事は東京の方が強いように思えます。名古屋のほうが不利な気もします。 「確かにそうなんですが、今はSNS時代なので、YouTubeなどで自分でチャンネルを持つことができます。言ってみたら片手に放送局を持っているような状況じゃないですか。どこにいてもバズることができるので、有名になるのに場所は関係ない時代になったと思います。むしろ、お笑い的に下に見られている名古屋で活動している芸人が、新しい形で目立つことができたら、スポットライトが当たる可能性が高いと思うんです。だからやり甲斐はありますね」
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木造一階建てのアパートからマンションへ
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Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント
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