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<純烈物語>静寂のなかの「視線のレイザービーム」。観客の強い思いを受け取って<第84回>

そして聖地「相模健康センター」へ

 夜の部が終わったあと、純烈にとって大切な場所へ向かった。同じ“相模”でありながら、そこはグリーンホール最寄り駅の相模大野から電車で20分、さらにさがみ野駅を降りて15分ほど歩く距離にあった。 「今年の紅白終わりは、予定ないですよ」  2年連続凱旋ライブをやってきたので、こういう状況だからイベント開催はないと思いつつ、酒井に確認したのは11月。じっさい、紅白が終われば何年ぶりかに大晦日の夜を家族と過ごせたはずだった。  しかし酒井は、渋谷から相模健康センターへと向かった。到着したのは元日を迎えた深夜。早朝6時半、紅白用の髪にするべく理容店へいったところからずっと動いている。  純烈にとって原点ともいうべき場所の閉館が告知されたのは12月3日。そこから紅白へとはばたいていった酒井が、ほかのどの日でもなくそのステージを終えた直後に向かった思いは、わかる気がする。  その模様がアップされたYouTubeを見ると『白と黒とハッピー~純烈物語』のメンバーごとによるサイン本が置かれていた。発刊直後ならまだしも、閉館まで売られていたことを知り、酒井と同じようにいてもたってもいられなくなった。  初めていったので、夜でも車の通りが激しい藤沢座間厚木線を進むのが長く感じられた。先が見えぬ闇の中を、どこまでもどこまでも歩く……思えば、相模健康センターから続く純烈の歩んできた道のりは、こんな感じだったのだろう。  そんな黒い風景の中へ、オアシスのような光が見えてきた。当初は1月17日だった閉館予定が、情勢による工期短縮の関係で10日に早まった。つまり、3日後には歴史の幕が閉じられるのだ。  にもかかわらず、館内は活況を呈していた。入り口にビッシリと書かれた利用者からの感謝のメッセージを目に入れなければ、とても閉館するなどと思えない。 純烈本@相模健康センター 「純烈本」は、フロントの右側に陳列されてあった。著者であることを名乗り、感謝の言葉を伝えてからライブを演っていた大広間を見せていただく。  初めて体感するあの頃の残り香。その物語を書き綴ってきた身であっても、本当にここから紅白までいったのだと思うと、小説でも描けぬ奇跡としか考えられない。そして特筆すべきは、そこまで大きくなってもあの頃と距離感が変わらぬことだ。  同じように、コンサート終わりで向かったファンもいたとあとで知った。入浴は残念ながら時間の都合できなかったが、それでも忙しい中で年配のスタッフさんに応対していただいた。  出過ぎたマネであるのを承知で、閉館したあとも純烈を応援してくださいと頼むと、笑顔とともにこちらが元気をもらえるような熱量で返ってきた。「もちろんですよ!」。  来る時は、顔に突き刺さる寒風の当たりがキツかったが、さがみ野駅へと歩く帰りはお風呂へ入っていないにもかかわらず温かかった。相模健康センターは、純烈の原点であるとともに“ハッピー”の源流でもあった。 (この項終わり) 撮影/渡辺秀之 鈴木健.txt(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売
純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。
白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。
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【特報!】『純烈物語20-21』2021年3月9日(火)発売決定!
2019年12月発刊『白と黒とハッピー~純烈物語』に続き、当連載が書籍化されます。コロナ禍に見舞われた中、純烈はどうやって2020年を止まることなく乗り越えてきたのか。離れていてもファンとともに現実と戦い続けた酒井一圭、白川裕二郎、小田井涼平、後上翔太の姿が500ページ以上にも及ぶ克明なノンフィクションとして描かれています。現在、鋭意製作中です。ご予約等詳細は公式Twitter(@happy_junretsu)で追ってお知らせいたします。全国の純子&烈男の皆様、お楽しみに!(定価1818円+税10%)
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