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<純烈物語>紅白の猛烈紙吹雪の演出は渋公配信ライブのオンラインラウンドにあった<第82回>

<第82回>紅白の“紙吹雪パーティー”の裏に配信ライブのオンラインラウンドあり

純烈_相模大野 2020年2月27日以前であれば、ステージの幕が上がる前から袖にいて客席の高揚感がザワとなり伝わってきた。それがこの日は鎮まり返るとまではいかずとも、どれほどの声にとどめればいいのかという葛藤をファンが抱えており、そんな空気がなんとなく漂っていた。  その中へ、純烈の4人は足を踏み出していく。体に染みついていたオープニングならではのドッカーン!というリアクションは……ない。その代わり、一人ひとりの顔つきがあの頃と違う。単純な言い回しをするなら“待ちに待った感”が尋常ではなかった。  1曲目の時点で目を拭う人たちが客席のいたるところへいた。若い女性も、ハッピを着たお兄さんも、旦那さんに寄り添って一緒に喜びたくても1席空けて座っているためそれができず、ハンカチで目を押さえながら喜びを噛み締めるお婆さんも。  涙を拭こうとしたマダムは、条件反射のように振っていたペンライトを持ったままだったため、それを自分の額にコツンと当ててしまった。こうした感情の起伏を、声を出すことなく発露させるのはなかなか大変だ。 「ステージ上からはそこまで見えないから、演る前までは考えすぎだったなと思えるほどにいい意味で普通、何も変わっていないなと思いました。この情勢下において変わらぬ景色がそこにあるのって、ありがたいことですよ。その中で、いくつかこちらに写真が向けられた座席があった。おそらく、亡くなられた方々なんだと思います」(酒井一圭)  高齢のファンが多い純烈では、コロナ禍になる以前から全国のコンサート会場でも見られる光景だった。それを目にするたび「今まで応援してくれてありがとう」と心の中で唱える一方、だからこそ一期一会の姿勢で臨なければと思うとともに、人前で何かを表現し続ける仕事の切なさを噛み締めてきた。

「みなさん、こんにちは!」とやっても声によるレスポンスは返ってこない

 歌い終えて「みなさん、こんにちは!」とやっても声によるレスポンスは返ってこない。それでも酒井のMCは軽妙に進んでいく。 「2月27日から皆さんの前でライブをやっていなくて、初めて『愛をください~Don’t you cry~』もこういうフォーメーションでやるんやなとわかったでしょう。車の中とか、家で洗い物をしながら聴いていた曲だよね」  CD音源や番組で聴くことはあっても、ライブで動くメンバーを見ながらその歌声を耳に刻むのは、ほとんどの観客が初めて。ファンの前で披露する前に、コロナ禍へと見舞われてしまっていた。  続いて後上翔太が、翌日より発令される緊急事態宣言について賢そうな口調で説明する。グリーンホールはMAXでも1790席。イベント開催条件の5000人はクリアしているから今日はおこなえるとスラスラ語るや、すかさず酒井が「おまえ、ニュースやクイズ番組に出ているからって池上彰のような顔で言いやがって。おまえの髪型の方が緊急事態宣言や!」と笑いを誘う。  紅白歌合戦直後のステージということで、その裏話が聞けたのも年明け一発目のライブならでは。「リモート握手」としてリアルタイム視聴者にテレビのリモコンの“決定”ボタンを押してもらい、その数が500万回、1000万回を超すたびに赤と白の花びら(紙吹雪)が乱舞する演出が話題となった。  イントロの時点で1000万回に達し、いきなり膨大な量の紙吹雪が舞ったばかりかその後もカウントはとどまるところを知らず。メンバーの姿が見えなくなり、最終的には8264万回を超えた。  見方によっては司会の大泉洋が言った通り「何かの罰ゲーム」。歌い終わったあとも、口の中へ入った紙吹雪を食いまくる白川裕二郎が抜かれた。この日のために髪を白に染めて赤いハートを入れ込んだ酒井だったが、そこにも付着したためふりかけご飯のような頭になってしまう。  紅白における紙吹雪といえば、第32回に北島三郎が『風雪ながれ旅』を歌った時の量が伝説として今なお語り継がれているが、そのリモート出演した先人から「ちゃんと食べるように」とつないでもらえた。これで純烈は、一子相伝の正統継承者として認められたようなものだった。
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“隣でやった”渋公配信ライブをNHK関係者が見に来ていた
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