更新日:2021年02月19日 10:47
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コロナワクチンの輸送にジャンボジェット8000機が必要となるワケ

ドライアイスの搭載量緩和が待たれる

コロナ輸送

成田空港で荷下ろしするジャンボジェット貨物機 撮影/北島幸司

 ファイザー社製のワクチンは年内に供給するとしているので、一回にもっと運ばないと実現しない。それではどうするか。前述のジャンボジェットを利用することとなる。1.8tのドライアイス量で運べるULDは9台。7万200回分×9で63万1800回分となる。ジャンボジェットだけで運ぶとしても、1.44億÷63万1800=228となり、貨物専用機であっても毎日飛ばして、7か月以上の日数がかかる。外資系エアラインやチャーター機も起用、貨物機と旅客機の貨物便を併用し、輸送頻度を増やさないと運びきれない計算である。  述べてきた輸送方法では、日本国民がワクチンを2回接種し終わるまでに相当の時間が掛かり、現実的ではない。今後、世界的な航空機関が、航空機へのドライアイス量の搭載量緩和などに動くだろう。旅客を乗せない旅客機の貨物便などの場合は、貨物専用機に準じた搭載量になっていくだろう。  モデルナ社のワクチンも同様に冷凍が必要なので、ドライアイスの必要がなく2~8℃で輸送可能で危険物扱いにならないアストラゼネカ製のワクチンが承認されれば、危険品ではなく一般貨物として輸送ができて輸送効率もよい。そのためファイザー社製よりも全量は早く日本に到着する可能性が大きい。

ワクチン搭載機は優先管制誘導される

 既に、欧米の航空管制機関が、ワクチンを搭載した航空機への優先管制誘導を始めると表明した。日本側でワクチン輸送の受け入れを表明したのは関西空港だ。到着後のワクチンをいかに早く病院へ輸送するか「KIXワクチン輸送タスクフォース」で検討が行われている。  世界の趨勢に対し、ワクチン接種開始の遅れている日本。スムーズな航空輸送を行い、全国民への接種完了まで遅れることのないことを望みたい。<文/北島幸司>
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing
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