恋愛・結婚

ストリップ劇場に通いつめる女性を直撃「なりたかった私が踊っていた」

なりたかった自分が踊っていた

 こうしてストリップオタクとなったMさん。家にこもりがちだった彼女も、次第に行動面で積極的になっていった。ストリップを通じて新しい友人と出会い、元々友人だった相手とも更に交流を深めた。関東圏から飛び出し、福岡まで遠征に行ったこともある。  この魅力をどうにかして伝えたい。やがて彼女の中にそんな欲求が生じた。絵も文章も一人で創作し、入稿締め切り直前に印刷所に駆け込んだ。製本作業は今まで培ってきた人脈を動員。なんとか同人誌の即売会当日までに間に合わせた。「引っ込み思案」だという彼女の性格からは考えられない出来事だったのではないだろうか。  だがMさんにとってストリップは楽しいだけのものではなかった。この熱意の裏には、ずっと押し隠していた後ろめたい自分がいた。 「ずっと自分の容姿にコンプレックスがあって、透明感のあるアイドルのような踊り子さんが憧れでした。観ているうちに、なりたかった自分の姿はこれだったんだ、と彼女たちに理想像を投影していることに気づきました。好きな仕事を手放したことに関しても未練があって、ステージを見るたびに、じゃあ自分はどうするのか、どう折り合いをつけるのかと考えてましたね」  そんなある時、お気に入りの踊り子の一人が体調不良のため、無期限の休養に入った。結局は半年ほどして復帰するのだが、Mさんは復帰後のステージで彼女の葛藤を感じ取ったという。 「自分を投影する気持ちが強すぎて、踊り子さん自身の内面を無視していることに気づいたんです。その時は恥ずかしかったですね。今ではまっさらな目で観ようと心がけています」  今度は自分が行動を起こそう。新型コロナウイルス流行下でも「風俗」であるために持続化給費金を受け取れず、閉館の危機に瀕する劇場のために……そんな想いもあって書き上げた同人誌の結びは、こんな言葉で締めくくられている。 「感染症の流行で劇場はさらに厳しい状況に立たされる2020年の今、文化の無力さを感じている業界関係者は多いのかもしれない。(中略)私の本がきっかけでストリップ劇場を訪れてくれる人が一人でもいたら大成功だ。劇場を守ることに少しでもいいから貢献したい。私はおばあちゃんになってもストリップ劇場に通いたい。孫ほど離れた踊り子さんに恋していたい。そんな未来を夢見ている」。  ストリップ劇場とともに歩むという彼女の思い描く未来は、どんなものなのだろうか。 「仕事でもプライベートでも何か進展はあるかもしれませんが、ストリップファンであることは変わらないと思います。劇場にいると安心感があるし、推しの踊り子さんを観ていると『この人がステージにいてくれれば、どんなことでもチャレンジできる』って思える。恐怖感が薄まるんです」  インタビュー後、三回目の公演に戻るという彼女の足取りは軽かった。  ストリップと文章。ステージは違えども、きっと彼女は再び「表現」の世界に戻ってくるのではないか。彼女の背中を見ながら、そんな予感が胸をよぎった。 <取材・文/大河内光明(@komei_okouchi)>
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