恋愛・結婚

ストリップ劇場に通いつめる女性を直撃「なりたかった私が踊っていた」

ストリップショーに魅了される女性たち

 ストリップショーの女性人気が高まっている。2020年7月には『女の子のためのストリップ劇場入門』(菜央こりん、講談社)が発売。2021年に入ってからもフジテレビの人気番組『ザ・ノンフィクション』が現役最高齢、53歳のストリッパーに密着。彼女に熱烈な女性ファンがついている様子が放送された。

Mさん作成のストリップ紹介画像

 もはやストリップ劇場は、昭和的な「冴えないオジサンが群れる場所」という印象から様変わりしつつある。今回取材したMさんも、20代の若い女性ながらストリップに魅了された一人だ。彼女のSNSには熱心に劇場に通いつめ「推し」を追い続ける濃厚な毎日が綴られていた。    Mさんの熱意はSNSだけに留まらなかった。なんと自身で絵と文章を創作し、同人誌を制作。即売会に参加し頒布までしてしまうという熱狂ぶりだ。 「観たいものは全てインターネットで観られると錯覚してしまうような世界で、たった一つの宝物を見つけた」  踊り子たちのむき出しのパフォーマンスに魂を揺さぶられる体験をしたMさんは、興奮した筆致でこう綴っている。  やがて彼女は、女性としての理想像をストリップダンサーたちに投影していたことに気づき、本当の自分と向き合っていったという。時には嫉妬の感情に苦しみ、悶々と一日を過ごしてしまう時さえあった。 「ストリップには言葉がないから、受け手なりの解釈ができる。ステージは見ている人の心すら投影している」  うら若い一人の女性にそこまで言わせるストリップとは、いったい何なのだろうか。少なくとも、ただの「風俗」ではない。筆者はSNSのDMでMさんとコンタクトを取り、取材依頼を送ってみることにした。

入場チケット

記者による内容のメモ

ストリップの歴史~戦後の倦怠から生まれた「性」の劇場

『ストリップ芸大全』(ストリップ史研究会、データハウス)によれば、ストリップ劇場の歴史が始まったのは戦後間もない1947年のこと。当時はまだソフトな露出が主流だったようで、上半身を露出させる演出の後にすぐに暗転……というパターンが多かった。  しかし翌年には踊り子が逮捕されてしまうなど当局の規制が本格化し、以降は法規制とのイタチごっこの様相を呈していく。70年代からは関西を中心に「観客参加型」のショーが現れ、徐々に過激化。ストリップにまつわるマイナスなイメージは、このあたりに醸成されたようだ。一方で「一条さゆり」など、ストリッパー出身の華やかなスターは一世を風靡した。  インターネットが台頭してからは性産業が多様化し、全国規模での劇場数は年々減少。かつて300館以上存在した劇場も、現在は全国で18館ほどになってしまった。とはいってもアングラな人気は衰えず、Mさんのような新規の女性客を含めた根強いファンに支えられ、現在に至る。  ……と、そこまで調べたはいいものの、百聞は一見に如かずだ。実際の劇場に行ってみる以上のことはない。幸いMさんは取材を快諾してくれ、都内某所の劇場を指定してくれた。取材日の前に、劇場の情報をネットで収集することにする。しかし、検索にヒットしたのは一昔前の素人感溢れる個人サイト、といった風情のホームページだった。しかも新型コロナウイルス流行後は公演時間や回数が安定しないのにも関わらず、公式サイトの更新はほとんど手つかず。Mさんに問い合わせると、「ファンたちは公式の情報よりも、信頼されている古参ファンのブログの方を頼りにしてるんですよ」とのことだった。  ほかにも「踊り子の宣材写真をSNSにアップしてはいけない」「劇場内でのスマホの使用はご法度」などローカルルールがたくさんあるようで、筆者のような一見客が理解しきれない部分も多いようだ。取材当日のことは完全にMさんに任せることにした。  指定された劇場は、都内有数の繁華街から裏道一本入った風俗街にあった。周囲にはパチンコ店やマッサージ店。軒先には派手な赤ちょうちんが並び、「ヌード専門館」の煤けた看板が掲げてある。男一人で入るのにもやや抵抗感がある外観だ。  所在なくそわそわした気持ちで待っていると、時刻通りに現れたのは清楚で落ち着いた雰囲気の女性。間違いなくMさんなのだが、やはりストリップ劇場と彼女の印象はどうしても結びつかない。二、三の注意点を教えてもらうと、「それでは入りましょう」とためらう様子もなく、Mさんは劇場のビニール製のれんをくぐっていってしまう。少々困惑しながら後に続く。
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むき出しの空調ファン、色褪せた壁
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