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「高級腕時計と賢くつき合う」ために必要な腕時計投資家からのアドバイス

高級腕時計は貧乏マインドで買うと失敗する

 アリババの創業者・ジャックマーが唱えた「貧乏マインド」によると、「行動しない」ということが貧乏マインドだそうです。その視点で今の腕時計相場を考えてみると、確かに数年前に比べると値上がりしている腕時計が多いわけですが、そのような腕時計に対し「今は高すぎるから買わない」とかいう人は永遠に買えないでしょう。彼らは、「モノには適正価格がある」と主張するのですが、その適正価格とは何なのでしょうか?  例えば、ロレックスサブマリーナー(新品)の場合、1980年代の定価は10万円台、2000年頃の実勢価格は30万円、2007年ごろは50万円台、2015年ごろは80万円台、2017年ごろには100万円以上になり、今では150万円台なわけです。つまり、過去よりも高い現在の相場を「適正価格ではない」とするならば、「現在150万円の腕時計を10万円台で買いたい」という理屈になってしまうでしょう。
ロレックスデイトナ116506

ロレックスデイトナ116506の中古最安値は、現在1000万円台に到達。2016年の段階では500万円台だった

 とはいえ、私としてもこのように「高いから買わない」という意見を言いたくなる気持ちはわかるわけで、実際、過去にこう思っていたこともありました。  しかし、それこそが私の失敗事例であります。私はかつて、パテックフィリップノーチラスを80万円台で購入したのですが、2005年ごろのノーチラスは、買ったときよりもかなり高くなっていました。
パテックフィリップノーチラス5711/1A

パテックフィリップノーチラス5711/1Aの中古最安値は、今年になって1000万円以上となった(2016年の段階では300万円程度で購入可能だった)

 そんなノーチラス人気のなかで、当時の新作、ホワイトゴールド3711/1G というモデルを私は欲しいと思いました。しかし、その際の相場は約300万円。さすがに「高すぎる」と思って買わなかったのです。これは、かつてのノーチラス相場を考慮して、この300万円が高かったのはもちろん、当時の他ブランドのホワイトゴールドの腕時計と比べても割高感があったわけで、「自分が思う適正価格を超えている」という結論になったのです。  けれども、そんな3711/1Gは数年前の段階で1000万円以上と相場に到達。そのとき「適正価格」などを考えずに買えば良かったわけです。

高級腕時計と賢くつき合うために必要なこと

 結局のところ「適正価格」とは市場が決めるものであって、個人が決めるものではないのです。ですから、勝手に「適正価格」を想像した2005年の私は、大きな機会損失してしまったのです。  つまり、高級腕時計と賢くつき合うには、「カネ持ちマインド」が重要だと思います。実際、高級腕時計は富裕層向け商品なので、「貧乏マインド」ではうまくつき合うことはできないでしょう。  そして、そういった「カネ持ちマインド」で買えば、「なるべく損せず楽しむ」ということも可能なわけで、そのようなことができるからこそ、腕時計は世界中で需要が高いのだと思います。
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう

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