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「高級腕時計と賢くつき合う」ために必要な腕時計投資家からのアドバイス

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。  高級腕時計といえば、ここ数年、値上がりが目立っており、定価以上で取引されるモデルが増えています。そこで、今回は「なぜ腕時計は値上がりするのか?」ということについて解説させていただきたいと思います。
斉藤由貴生

斉藤由貴生

 結論は「需要があるから」ということになるのですが、腕時計の価格変動が起きる理由や、そんな腕時計とどのようにつき合うべきかなど、くわしくご紹介していきたいと思います。

ネットの普及で人為的なブームが起きたものの……

 インターネットが日本で普及し始めたのは1990年代後半のことで、2002年頃からはブロードバンドが一般化され始めました。ただ、この時点ではインターネットに接していたのは特定の層だったといえます。そして、iPhoneが2007年に登場し、2010年代にはスマホ時代が到来。「誰もが手軽にインターネットで調べられる時代になった」といえます。  では、その間の高級腕時計の相場はどうだったかというと、1990年代後半に、「定価よりも実勢価格が高くなる」という現象が発生。この時点で「腕時計界隈に起こっていること」を正確に伝えていたのは雑誌でした。そして1999年に「ヤフオク」(当時ヤフーオークション)が登場。当初のヤフオクでは違法なスーパーコピーの出品が高く、ホンモノの販売は稀でした。しかし、2002年ごろからはホンモノの出品が増え、徐々に「ネットで高級腕時計を買う」ということが定着していったといえます。
ヤフオク

ヤフオクに出品されている高級腕時計

 ただ、その時点でも「腕時計界隈に起こっていること」を正確に伝えていたのは雑誌でした。つまり、腕時計の相場を共有できる人や国は限られていたわけで、「日本では高い腕時計が、海外では安い」という現象があったのです。また、国内だけを見ても、ネットと実店舗の中古相場には差がありました。  ネット価格と実店舗の中古相場が変わりない状態になったのは2010年ごろからだといえるのですが、ちょうどそのころからスマホが普及。そして、スマホの普及によって、多くの人が、国境を問わず「現在の腕時計相場」を確認できるようになったわけです。    そうなると、情報はまたたく間に世界中で共有されることとなります。ですから、流行った腕時計のモデルのことが簡単に多くの人に伝わるようになったわけで、需要増にも拍車がかかりやすくなったといえるのです。  そして、こうした流行りのメカニズムを分析することは容易に可能であるため、たまに人為的に「流行り」を仕掛けていることがあります。しかし、人為的に流行らせた腕時計の話題は、長期間続かない場合が多く、結局のところ、人気がある腕時計は、それ自体に魅力があるということが大前提なのです。

高級腕時計を高値で買うのはなぜなのか?

 次に、このような高級腕時計を買うのはどんなユーザーなのかを見ていきたいと思います。  値上がりした腕時計に対してはさまざまな見方があるわけですが、以前よりも相場が上がっているのに買う人がいるのはなぜでしょう?  その理由は、はっきりいって「リセールバリューが高いから」だと思います。いくら腕時計相場が上昇したとはいえ、クルマを買うことに比べたら、はるかに残価は残るわけです。  たまに富裕層のマインドを理解していない人が、想像で「お金持ちはリセールバリューを気にしません」と言ったりしますが、カネ持ちの基本はケチです。ですからカネ持ちなのであり、そういう人にとってモノを買うときのリセールバリューは超重要項目なのです。  ただし、リセールだけを考えて買うのではなく、あくまで「自分の感性に刺さるモノのなかから、リセールバリューが高いモノを選ぶ」ということも大事でしょう。端的にいえば、「感性に刺さるモノを損せずに手に入れたい」ということが、「カネ持ちマインド」だといえます。
カネ持ち

カネ持ちの本質はケチなのです

 しかし、その一方で、「高いのに買うなんてバカ」と批判する人がいます。そういった考え方は、ある種の「貧乏マインド」だといえるでしょう。
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高級腕時計は貧乏マインドで買うと失敗する
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