更新日:2021年03月26日 15:50
エンタメ

松本まりか「はじめてのチュウ」は“音痴だからいい” 歌ヘタ女優たちの魅力

他にもいる魅力的な“歌ヘタ女優”たち

 最近の女優は皆歌が上手いと書いたが、もちろん松本まりか以外にも例外がいる。MONGOL800の「小さな恋の歌」を歌う浜辺美波の破壊力は、松本まりかに匹敵する。彼女がCMで披露したダンスも、ドタドタと音が聞こえてきそうで、全くリズム感がなかった。しかし、やはりコミカルで可愛いく、非常に印象に残る。鈍臭さと屈託のない笑顔が、しっくりと重なる。
 「女優×懐メロ」のCMのさきがけとも言える、宮﨑あおいが歌うTHE BLUE HEARTSの「1000 のバイオリン」もとっても音痴で非常によろしい。小学生のように、元気ハツラツに歌った「誰かに金を貸してた気がする。そんな事はもうどうでもいいんだ」(笑)と言う歌詞が耳に残る。

あえて恥部を晒す、松本まりかのプロ根性

 松本まりかは、昨年9月に放送された音楽番組「THE MUSIC DAY」(日本テレビ系)で初めて生歌を披露した時、思うように歌えなかった悔しさから楽屋で号泣したと言う。そして「歌手でもない私が錚々たる顔ぶれの中で生歌を披露して恥をかいたことに意味がある」「いい時に、誰もやらないことをやって恥部を晒す。ダメな部分も含めて、いろんな顔を知ってもらいたい」(「MAQUIA(マキア)」12月号より)というコメントを残した。すごいプロ根性だ。彼女は、子どもの頃から音痴を自覚して「歌手は今世では無理だな……」と思っていたらしい。

 音痴を自覚して人前で歌う事をNGにしている女優はたくさんいるだろう。しかし、松本まりかは、そしてきっと浜辺美波や宮﨑あおいも、音痴を自覚しながら克己(こっき)して、人前で歌っているのだ(宮崎あおいは、ちょっと自信満々にも見えないこともないけれど)。女優の音痴CMは、彼女たちがあえて自分の恥ずかしいところを見せてくれた、サービス満点のお宝映像なのである。それは非常に人を惹きつける。音痴は才能! 音痴を自認する女優のみなさんは、惜しむことなくその才能を発揮して欲しい。
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
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