水卜麻美アナの再現女優を襲った病「目が覚めたら2週間経っていた」
バラエティ番組の再現VTR。経緯や人物の感情を、わかりやすく且つ面白く表現することで重用されている。認知度も高い仕事だが、役者の名前が表に出ることは少ない。どんな思いで再現VTRに携わっているのか、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系列)や『世界仰天ニュース』(同)などの人気番組の再現VTRで太った女性を演じ続けてきた、女優マリアユリコさんに話を聞いた。そして、彼女を襲った恐ろしい病とは。
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――どのような経緯で再現VTRの仕事をするようになったんですか?
マリアユリコ(以下、ユリコ):事務所に入った当時は体重55kgくらいで、事務所の人に「それだと中途半端だから、太った方が売り込みやすい」と言われて、その流れに身を任せて太っていって、最初にいただいたお仕事が『世界仰天ニュース』の、太っていた女性が痩せたという再現VTRだったんです。その後も太っていって1番重かった時で125kgありました。
――女優さんは、自分の名を売るのも一つの目標になると思うのですが、あまり名前の出ない再現VTRの仕事に、ジレンマはありませんでしたか?
ユリコ:モヤモヤ考えたこともありました。でも、普通のお芝居とは違った、再現VTRにしかない「見せ方」があって、それを身につければとても楽しいですよ。私はいつも変顔ばっかりやっています(笑)
――再現VTRは、経緯と感情をデフォルメして伝えるという特性がありますからね。
ユリコ:ゴールデンタイムにお茶の間に出るので、家族や友人や、私を知ってくださっている方にダイレクトで伝わるのも嬉しいですね。
――舞台などは、何ヶ月も作り込んで発表する喜びがあると思いますが、見ている人数でいうとゴールデンのバラエティの方が圧倒的ですもんね。
ユリコ:『行列のできる法律相談所』の再現VTRで、水卜麻美アナの役を5年くらいやらせてもらったのも、反応が大きかったです。水卜アナの体系を、過剰に演出していることはSNSでも賛否両論ありますが、面白がってくださっている方も多いので、それが嬉しいです。
――女優を目指したきっかけはなんですか?
ユリコ:小学生の時から、教科書を感情を込めて抑揚を工夫して音読するのが大好きでした。それから高校生になって、アルバイトをしたコンビニエンスストアの店長の影響も大きいです。
――意外な存在からの影響があるんですね。
ユリコ:高校生で未熟だった私をきちんと叱ってくれる尊敬できる女性でした。コンビニなのにお客さんから「ありがとう」といつも言われるくらいすごい店長だったんです。そんな店長が大失恋をして、バックヤードで号泣しているのを見かけたことがありました。でも、次の瞬間、店長はいつも通りの様子でお客さんの前に出てきたんです。それを見て、「店長という役割を演じてるんだ」と思ったんです。そこから「人間はいろんな役割を演じている」ということがわかって、いろんな役を演じられるお芝居の世界に興味を持ちました。
――そうやってはじめた女優という仕事で、伝えたいことはなんですか?
ユリコ:私の父は、私がまだ小さい頃に亡くなったので、母が昼夜問わず働いて育ててくれました。だから、私はテレビが親友というくらいテレビばかり見ていました。そうしているうちに、「テレビに出れば、私と同じように寂しい思いをしている子に勇気付けられるのかな」と思ったこともあったので、勇気付けられればいいですね。
――芸人さんや役者さんは、コンプレックスを武器にすることで、見ている人に勇気を与えることもありますね。
ユリコ:私は太っているのが特徴ですが、そういう意味では渡辺直美さんがいます。彼女のおかげで、世間の太っている人への見方も変わって来たので本当にすごいですよね。でも、直美さんは、才能も努力も凄すぎて「渡辺直美がすごい!」で終わってしまうこともあると思います。
――輝きが明るすぎて、見ている側が自分に置き換えられないということですね。
ユリコ:でも私のような人が平凡っぽい人(笑)が、表に出ることで、太っていても人前で堂々としていいんだと感じてもらいやすいと思っています。
――今後の野望はなんですか?
ユリコ:実は、人前に出る仕事を辞めようとも思っていました。でも今は、なんでもやりたい!という気持ちです。
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再現VTRという生きる道
太っていても人前に出ていいんだ
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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