更新日:2022年07月12日 14:30
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漢字のとめ、はね、はらい、できないと0点? 教育の本当の目的とは/鴻上尚史

学校で満点をとることが、教育の目標になっている

 記事では、「高校生や大学生の指導をしているが、字が雑で読めないことがある」と、厳しい指導に賛成する意見が紹介されていました。  この意見と、「厳しすぎる『とめ、はね、はらい』を指導すること」は何の関係もありません。  教育は何が目的か?という点を見失っているのです。 「シ」と「ツ」の違いは大切な問題です。これがちゃんと書けないと、「よりよい社会人」にはなれません。  でも、「青」の「月」の角が丸くても何の問題もありません。  もちろん、「青」の字を教える時は、「月」の角は教えます。  けれど、それができてないからと言って、間違いにしてはいけないのです。  それは、そういう指導をすることで、子供達に「漢字を正確に書くことのプレッシャー」しか残さないからです。間違いなく、「漢字嫌い」「文章嫌い」の子供を作るだけだからです。 「よりよい社会人」になることではなく「学校の中で満点を取ること」が目標になっている結果です。  記事では、学習指導要領解説の国語編では「正しい字体であることを前提とした上で、柔軟に評価することが望ましい」と書かれていると紹介し、けれど、文科省教育課程課は、「国語ではなく、社会や理科など他教科で書いた字は『とめ、はね、はらい』ができていないからといって、減点はしないという柔軟な評価を意味する」と解説しています。  つまり、他の教科はオッケーだけど、国語は別だと言いたいのでしょう。なんだ、それ。文科省が、こんな玉虫色の言い方をするから、教育に真面目過ぎる先生達は、少しの違いでも、減点や0点にするのです。  じつは、校則と同じく、この「とめ、はね、はらい」指導も、年々、厳しくなっているように僕は感じています。学校がどんどん、子供達にとって窮屈な場所になってないかと心配するのです。
ドン・キホーテ 笑う! (ドン・キホーテのピアス19)

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