更新日:2021年05月05日 22:43
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コロナ解雇された40代の衝撃。年収700万円・勤続22年の仕事を失う/コロナ禍の日本

コロナによるダメージで、階層の固定化が顕著に

 日本では数万人規模でのコロナ解雇が現在進行形で進んでいる。4月時点での失業率は今年1月より0.2%増の2.6%と微増にとどまっているが、失業者数に反映されない、労働を行っていない「休業者」の数は過去最大の597万人を記録。ここに「働きたくても働けない」潜在的な失業者が含まれているとされている。こうした状況は’08年のリーマン・ショックと比較されることが多いが、経営コンサルタントの中沢光昭氏は「労働市場が置かれた状況は両者で大きく異なる」と話す。 「リーマン・ショックは金融という経済の血脈に異常が出たことで、全業種に広くダメージが出ました。そのため『みんなで乗り切ろう』と回復局面も同じタイミングだったのですが、コロナショック最大の特徴はダメージが直撃した領域と、そうでない領域の差が非常に大きい点。  後藤さんが働いていたイベント業界はダメージを深く負った業種の最たる例で、業界的な活動再開の見通しさえも立っていません。しかし、さほど影響がなかった業界も、コロナ禍を経て『企業にとって現金がいかに大切か』を衝撃的なレベルで知ってしまった。第2波がいつ来るかもまだわからないなか、多くの企業は『自分たちだけでもなんとか生き残ろう』と内部留保に必死になり、新たな雇用を生む新規事業をこれから始めようとする企業は皆無の状況です。  自分たちが今後どうなるかわからない状況で、人を採る余裕なんてないというのが多くの企業の本音でしょう」

コロナ解雇の深刻さ

 解雇されて労働市場に放り出される人が数多く発生する一方、採用活動の活性化といった明るい材料はほぼない。ここにコロナ解雇の深刻さがある。 「影響が少なかった会社に勤めているからといって安心はできません。前述のとおり企業は生き残りと内部留保のためによりシビアなコストカットに励みます。コロナ禍で露呈した不要社員、なんとなくポストを与えられていた中年社員などは、コロナを機に一斉に整理解雇される可能性が高い。  とくに、対外的に業績の説明をしなければならない会社ほど『やれることをやっています』アピールのためコロナに便乗して積極的にリストラに動くはず。また、もともと日本にあった勝ち組・負け組という格差に、コロナがかけ合わさってしまったとも分析できる。従来の負け組で、さらにコロナで殺された業種に属していた人々にとって、現状は絶望しかない。コロナは、より階層の固定化を高める可能性があります」(中沢氏) 【続報】⇒コロナ解雇された40代のその後。1年間無職も、代表取締役になっていた 【経営コンサルタント・中沢光昭氏】 経営コンサルとして活動する傍ら、経営者として破綻会社などの再建・変革実績を多数持つ。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社新書)など <取材・文/週刊SPA!編集部>
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