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コロナ解雇された40代の衝撃。年収700万円・勤続22年の仕事を失う/コロナ禍の日本

―[コロナ禍の日本]―
 コロナ禍のまま2度目のゴールデンウイークに突入。これまで取材してきた新型コロナの影響が直撃し困ってる人々を今一度振り返りたいと思う。2020年7月24日掲載記事より、コロナ解雇された40代、年収700万円・勤続22年の仕事を失った男性の声と、専門家の分析とともにコロナ解雇の実態に追った。

相次ぐ自粛で経営悪化。勤続22年の末のコロナ解雇

コロナ解雇の衝撃▼後藤 誠さん(仮名・45歳)職種:イベント運営/役職:部長級/失職理由:解雇/年収:700万円 イベント会社のクリエイティブマネジャーとしてブッキング、演出、ツアーマネジメントを担当。入社以来この業界一筋だった ===== 「我が社にはもう、君に来月支払える給料がありません。本当に申し訳ない……」  新卒入社から22年。4月末、声を詰まらせながら目の前で土下座した社長のひと言で、後藤誠さん(仮名・45歳)のサラリーマン人生は唐突に終わりを告げた。 「従業員数50人程度のイベント会社で、過去には大規模な野外フェスや有名アーティストの全国ツアー興行を取り仕切ったこともありました。僕は5年前からクリエイティブマネジャーという肩書で、部下の指導、イベント統括にあたっていたんですが……」  コロナの影響で2月末からのライブやイベントは相次いで中止に。売り上げはほぼないのに月に30~40件分の会場キャンセル料が発生し、3~4月の売り上げ損失は毎月1億円以上にまで膨らんだ。 「中小企業向けの雇用調整助成金や持続化給付金を申請して200万円が会社に入りましたが、月1億円規模の赤字の前には焼け石に水。会社のキャッシュは瞬く間に底を突いたようです。さらに不運は続くもので、解雇された翌日に母が倒れて入院することになったんです。入院手続きの際、自分の職業欄に『無職』と書いて、ようやく大きなショックと喪失感を覚えました」

失業手当はすぐに受給も…

 退職金はゼロ。会社都合での解雇だったため失業手当はすぐに受給でき、これまでの月給の6割相当である27万円が給付された。 「家族の生活費や10歳の子供の学費、車や家のローンを払ったら、月5万円は足が出る。貯蓄でなんとか補填していますが、330日という給付期間をフルに頼ってしまうと、生活が破綻しますね」  転職エージェントに登録してみたものの、色よい返事は今のところひとつもない。 「20代からイベント畑一筋だったので、40代後半になって今さら違う職種というのも正直難しい。とはいえ、家族を守るために正社員や希望業種でなくても手当たり次第に受けています」
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コロナ解雇の深刻さ
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