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アップル謹製の紛失防止タグ「エアタグ」は超便利。悪用は厳禁

悪用されない工夫とは?

 AirTagは悪用されないように様々な工夫を凝らしている。例えば、AirTagを拾った人が自分で使うために盗んだとしても、元の持ち主が持ち物から削除しない限り、再設定はできないのだ。この点は頼もしいところ。  ストーキング目的でAirTagをこっそりバッグの底などに忍ばせる、というのはすぐに考えつくだろう。その場合、紐付けたiPhoneと3日間離れると、アラームが鳴るようになっている。ストーキングされているのがiPhoneユーザーであれば、自分の物ではないAirTagが近くにあると警告してくれる機能もある。電池を外してAirTagを無効化する方法も表示される。  しかし、3日間は普通にストーキングできるということでもある。実際、他の人に持たせて移動してもらったが、数分間隔で正確な場所を検出できた。  また、盗難に遭った場合もあまり効果は得られなさそう。目に見えているなら電池を外されて終わりだし、3日後には音や通知でAirTagの存在がばれてしまうからだ。  他にもいろいろないたずらが考えられる。AirTagが付いた荷物を取得した場合、その人の電話番号がゲットできる。拾った人が善人であればいいが、そうでない場合、個人情報を追加で渡すのは躊躇われる。電話番号はダミーにして、メッセージで近くの交番に届けて欲しいというように伝えるのもありだろう。

批判するのでなく、よりよい活用を

 逆アプローチとして、AirTagを付けた荷物を放置し、拾って連絡してくれるのを待つというナンパの手口も発生しそう。メッセージを見て電話すると電話番号がばれてしまうし、取りに行くので持っていて欲しいと言われたら対面のリスクが発生する。リスクを避けるならAirTagが付いた荷物を拾っても、そのまま取得物として届け出た方がよいかもしれない。  とはいえ、場所を検出することは紛失防止タグとしては当たり前の機能で、これを持ってAirTagがダメと言うことでは一切ない。包丁で人を傷つける事件も起きているが、包丁を攻撃する人はいない。AirTagを批判するのではなく、よりよく活用していきたいところ。  筆者としては、ユーザーの任意のタイミングで近くに自分のものではないAirTagがあるかどうかを検出できる機能を付けて欲しい。そうすれば、自己チェックが可能になり安心できる。また、紛失モードを有効にする際も、電話番号を入力するのが当然といったUIではなく、取得物として届け出てください、といったアプローチの選択肢も用意して欲しい。特に日本は取得物を届ける人が多いので、ありだと思う。
AirTag(エアタグ)

見知らぬAirTagが自分の持ち物から見つかったら、電池を外せば探せなくなる

 まだまだこれからブラッシュアップしていきそうだが、現時点でも紛失物を見つけ出す、という目的であれば、AirTagは決定版のガジェットと言える。バッグや財布などをなくしたことがある人は、導入を検討してみることをお勧めする。<文/柳谷智宣>
お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
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