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知られざる少年院生活の実態「幼稚園児レベルの告げ口されるから、誰も信用できない」

更生プログラムの内容は施設により若干異なる

少年院

画像はイメージです 写真/朝日新聞社

 ただ、施設によって更生プログラムの内容に若干の違いがあるようだ。窃盗事件で高校2年だった17歳のときに逮捕され、今春まで11か月間を上越地方の少年院で過ごした19歳の少年・Bさんが言う。 「教育は、自分に与えられた課題を皆の前で暗記して発表するのが基本です。自分がいた少年院には農園があって、そこでトマトを育て、田んぼをシャベルで1.5mぐらいの深さまで掘って軟らかい土を入れる『天地返し』をやりました。手はマメだらけになります。少年院のコースを使って大型特殊免許も取りました」  Bさんは現在建設業に従事。少年院では読書や資格取得の勉強に没頭したと話す。  更生プログラムでは、心理学の知見を取り入れたさまざまな試みもなされている。例えば、犬の飼育、マインドフルネスの導入など外部講師による講義や講演も積極的に行う。なかでも「ロールプレイング」は多くの少年院が実践している。  現在20歳の元少女・Cさんも、覚醒剤の使用で入院した女子少年院で、薬物非行防止指導の一環として体験した。 「社会に出てから自分が誘われそうな先輩役を他のコにやってもらって、断れるかを試すんです。外に出て何が引き金になるかを先に考えて、それに似たシチュエーションを演じます」
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Cさん(20歳・エステサロン勤務)非行を重ね、18歳の時に覚醒剤の使用で少年院に送致。更生し「義務教育の一環として少年院にはみんな行ったほうがいい」と言う

教育内容は『背中を見て覚えろ』

 今回、取材に応じた現役のベテラン法務教官Dさんは、そういった試みも更生に一定の効果は見られるが、少年院の教育はあくまで生活指導に重点がおかれるという。 「少年院がやることなんて、どこもあまり変わらないんです。私が勤める少年院では、発達障害の有無や犯罪傾向の分類によって寮は分かれていても、実習などは混合で行われ、指導の差はほぼありません。教育内容は、体系的というより『背中を見て覚えろ』的な、暗黙知によるものです」  先述の通り、少年院では出院後の再非行に繫がる少年同士の交流を固く禁じている。少年には出院まで担任の法務教官が1人決められ、密なコミュニケーションを取りながら生活を送る。  元少女・Cさんは「先生が『昨夜あなたのこと考えてたんだけど』って話してくれて、家でも私のことを考えてくれてるのが嬉しかった」と当時を思い返す。彼女の場合、教官の熱意に触れたことが、更生のきっかけになったという。
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