更新日:2022年04月15日 16:29
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傷もの野菜も捨てずに“見切り品”として売るワケ 日本一有名な八百屋の経営哲学

お客さんが一人もいなくても大声で呼び込み

スーパーアキダイ・秋葉弘道社長――何がきっかけでお客さんが来るようになったのですか。 秋葉:正直、店を閉める決心もしていました。ただ、周囲に応援してもらって開業したからには、「あれほど秋葉が頑張ってもダメなら仕方ない」と言ってもらえなければ、やめるわけにはいかない。 だから、1年間だけやれるところまで頑張ろうと決めたんです。もうプライドとか、恥ずかしいなんて言ってられない。バスが通りかかれば「大根10円!」と大きく書いた紙を掲げたり、お客さんが一人もいなくても大声で呼び込みをするようになった。 そんな具合でがむしゃらに仕事をしていると、不思議なことに、たった一人のお客さんでも「この人は俺のことを認めてくれている」と感謝の気持ちが自然に湧いてくるんですね。接客しながら、「自分はこういう思いで八百屋をやっているんです」と話すと、「頑張っているんだね。今度、お友達も連れてくるわ」って言ってくれて……。 その友達がまた別の友達を連れてきて、ウチのお客さんになってくれたり、数年前、中小企業診断士に店を診てもらったら、「顧客の95%が知人の紹介なんて店、ほかにないですよ!?」って驚いていましたよ(苦笑)。

勤続20年のパートも!? 従業員はみんな仲間

スーパーアキダイ・秋葉弘道社長――従業員も秋葉社長に信頼をおいているように感じます。撮影中も若い女性スタッフから「よっ! 男前!」「かっこいいね、社長」と声がかかっていました。また、勤務中に従業員の皆さんがテキパキした動きで働いていたのが印象深いです。 秋葉:まぁ、みんなが言いたいことを言える社長ですから、俺は(苦笑)。従業員はアルバイトやパート、社員とか関係なく、みんな仲間という感覚。むしろ、俺のほうが気を使っていますね(笑)。 まぁ、気を使われるほうがイヤなので、それでいいんだけどね。確かに、パートさんの定着率はよくて、20年のベテランも珍しくないし、一度辞めても戻ってくる人もいる。 従業員の動きがいいのは、従業員一人一人が忙しいときに空気を読んでどう動けるかを考えているから。普段からみんなに言っているのは、「5人でやる仕事を3人でやろう」「3人でやる仕事を2人でやろう」ということ。 これがいいモノを安く売るためには重要で、まだまだ完璧じゃないから、日々成長しなきゃいけない。
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傷ものも処分せず、「見切り品」として値引き販売
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いつか小さくても自分の店を持つことが夢だった スーパーアキダイ式経営術

「1%の努力と99%の感謝の気持ち、そして、『この仕事を好きになる』のプラスαがあれば夢は叶う――」

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