更新日:2022年04月15日 16:29
エンタメ

傷もの野菜も捨てずに“見切り品”として売るワケ 日本一有名な八百屋の経営哲学

傷ものも処分せず、「見切り品」として値引き販売

スーパーアキダイ・秋葉弘道社長――アキダイは、国際社会共通の目標で、昨今メディアなどでクローズアップされているSDGsにも取り組んでいるそうですね。 秋葉:通常、スーパーでは傷ものの野菜などは処分してしまうけど、もったいないのでウチでは「見切り品」として値段を割り引いて売っています。 多少見かけが悪くても味は変わらないし、小鳥などペットの餌にするというお客さんもいるので、需要はあるんですね。まぁ、毎日買っていくお客さんがいるけど、鳥はそんなに食わないだろうな(人間が食べているんだろうな)とも思いますが(苦笑)。 どんな形でも、無駄にならずに消費されればいい。だから、全店舗に、見切り品を絶対つくれと指示しています。ただ、実はこの取り組みは、SDGsが取り沙汰されるずっと前からやってきたことなんですよ(笑)。 大事なのは、商売人として嘘をつかないこと。ごまかさずに、「前日の売れ残り」と正直伝えているから、安い「見切り品」として納得の上でお客さんに買ってもらえるわけです。

コロナ禍でもきちんと経営していくことが最優先

スーパーアキダイ・秋葉弘道社長――なかなかコロナ禍の収束の兆しが見えないなか、今後はどんな戦略を考えていますか。 秋葉:ウチの店は開口部が広いので、夏は暑いし、冬は寒くて、お客さんに申し訳なかったんだけど、青空市場みたいなもので換気は抜群にいい(笑)。 瓢箪(ひょうたん)から駒だけど、「コロナでも安心」と言うお客さんも多いんですよ。こんな時代でも、30年前に創業したときと自分の夢は変わっていない。店舗を増やしたり、年商100億円という目標も達成可能だけど、アキダイではない店になってしまったら意味がない。母屋が骨抜きになっちゃいけないんです。 過去に何度かあった倒産の危機のときもそうでしたが、苦難を乗り越えたときに成長できるし、従業員との絆も深まる。人はジャンプするとき、一度沈んで弾みをつけて跳ぶじゃないですか。 それと同じで、成長のためには一度沈むことも必要。今はそういう時期と捉えるべきでしょうね。いつか吉祥寺あたりでアキダイの野菜やパンを提供するカフェをやりたいけど、今はコロナ禍でもきちんと経営していくことが最優先。従業員やお客さんみんながアキダイを好きでいてくれて、その上でタイミングが来たらやってみたいですね。 =====  アキダイの強みは、優れた目利きによる「仕入れ」と、複数の卸売市場に確保した「独自の仕入れルート」だという。だが、最大の武器は、顧客に喜んでほしいという気持ちだろう。そんな思いを胸に、今日も秋葉社長は笑顔で店頭に立つ。 スーパーアキダイ・秋葉弘道社長※6/1発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです 【Hiromichi Akiba】 ’69年、埼玉県生まれ。アキダイ代表取締役。高校の3年間、青果商でアルバイトに励むが、卒業後は大崎電気工業に入社。退社後、青果商などを経て、’92年にアキダイ創業。現在、東京都内に5店舗・千葉県内に1店舗を展開し、パン工房や居酒屋も経営する 【関連記事】⇒「日本一有名な八百屋の経営者」がテレビに引っ張りだこなワケ。昨年の出演回数は300本超え 取材・文/齊藤武宏 撮影/浅野将司
1
2
3
4
いつか小さくても自分の店を持つことが夢だった スーパーアキダイ式経営術

「1%の努力と99%の感謝の気持ち、そして、『この仕事を好きになる』のプラスαがあれば夢は叶う――」

おすすめ記事
ハッシュタグ