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借金500万円男。届いたDMに誘われてタクシー代3万円を手にする

「お前は本当につまらなくなった」

 その人はカジノも好きだった。僕のカジノ話も最初から伝わる。 「結局借金は踏み倒さないんだ」 「いや、結局支払い遅れてモタモタしてるんで変わらないですよ。相手からすれば踏み倒してるようなもんです」  借金の話になると、なぜ自己破産しないか、とよく言われる。 「競馬とかパチンコもあんまりやらなくなったね」 「ホント最近はあんまりグッとこなくて……面白くないですよね、すいません」  この連載に関してもそうだが、最初はギャンブルブログみたいにするつもりだった。タガの外れた若者が、自分の身も振り返らずに無謀な鉄火場に飛び込んでいく……。  そんなストーリーを期待されているのも知ってはいた。それが今では毎日バイト三昧でギリギリの返済を続けている。何も刺激的なことはない。 「お前は本当につまらなくなった」とよく言われるが、自分でもそう思う。客観的に見て簡単に面白かったのはギャンブルをしていた時だ。こうして自分がコンテンツになった今、気づかないフリはできない。

なぜ借金を返し続けるのか

 ではなぜ、借金を返しているのか。  呼ばれたにも関わらず、ガールズバーの女の子ともほとんど話さないまま自分語りを始めてしまった。一気にテキーラを飲んだせいだろう。 「たぶん、今まで一番面白かった記憶がバカラをやってたあの瞬間で、次に行ったときに何の気負いも持ちたくないんですよね。  自分で賭けた分を自分で全額返したって実感さえあれば十分なんで、だから”借りたら返さなきゃいけない”とか”相手に対して誠実ではない”とか、そんな気持ちは本音のところでは一切なくて、たぶん僕が次にカジノに行った時に楽しくバカラをするためだけにこんな生活をしてるんですよね……」  言葉にすると整理ができると言うが、自分でもこの説明が一番しっくりきている。 「そっか、お会計するね。今度はメシ食べに行こう」  そう言って解散をした。最初のほうこそよく飲まされたが、たまにこうしてお互いに話すのに熱中してしまい、ガールズバーなのに男同士顔を合わせたまま解散になることはある。  帰りのタクシー代も渡してこようとしたので、それはさすがに断った。  タクシーの中で、受け取った札を見てみると3万円もあった。今日は当たりの縁だったようだ。 〈文/犬〉
フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩
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