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東京都・大規模接種センターでのワクチン接種が「感動の30分」だった理由

気の利き具合はまるで「一流のカフェ店員」

 筆者はアレルギー等もなく、当日の体調も「絶好調」でしたので、接種後の経過観察時間は15分でした。とは言え、接種後に次回予約の相談をしていたりしたので、ほとんど待機時間はありません。イスに座ってテレビを見ながらお待ちくださいという待機部屋もあったのですが、座った途端に所定時間は過ぎている状態。 「せっかくだからもう少し休むか……」と思ったものの、「何時何分まで経過観察すべし」という紙を渡されていたため、それを的確にチェックしていたスタッフさんから「具合はいかがですか?」とすぐに追い出しの声が掛かりました。  まるで一流のカフェ店員のような気の利き具合です。特に変調もなかったのでそそくさと接種会場をあとにします。全体での所用時間は30分ほど。スマホを見る隙もないくらい、あっという間の接種体験でした。

戸惑いも迷いもない感動的なオペレーション

 東京会場は接種を担う自衛隊と、受付や案内を担う日本旅行との共同作業で運営されているそうです。知らない土地や知らない国でもツアー客を引率する観光業のノウハウと、多くの医療スタッフと練度の高い隊員を抱えた自衛隊の物量、ふたつがガッチリと噛み合って今や一日で1万人もの接種を実施していると言います。  ただその「一日1万人」という数字さえも、現場を体験した身としてはまだまだ奥深い余裕を感じる数字でした。万全を約束できるのがその数字というだけで、もっと過酷な状況に世の中が追い込まれていたら、さらにチカラを発揮するのだろうと思えるほど、この現場は強靭でした。  ワクチン接種に限らず、ここまでスムーズな案内をされたことは記憶になく、一瞬の戸惑いも迷いもない接種体験は「感動」の一言です。人員の手配からオペレーションの構築まで、この短期間でよくぞここまで整えてくれたものだと、ワクチンを接種したこと以上に、この「接種体験」そのものに感動しました。  自衛隊という「国防」を旨とする組織を、便利屋的に起用することには若干のためらいもあるものの、「日本を守る」ということにおいて強い実行力を持つ「頼れる集団」の存在に頭が下がります。自衛隊による大規模接種は早晩終了し、ここでのノウハウが各自治体に展開されていくということですが、道筋をつけて颯爽と現場をあとにするなんて、猛烈にカッコいいじゃないですか。「スタッフさんに敬礼!」の気持ちです。
大規模接種センター

スタッフの皆さん、ありがとうございました!

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「大切な人の命を守る」ことに一歩前進
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