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カウンセリング時間の長い医師はクビになる。男性更年期障害、臨床の現場から

「頑張る」ではなく「ベストを尽くそう」

 石蔵医師に、問題が起きたときの代表的な置き換え例を教えてもらった。 ・どこがダメなんだろう→どうすれば良くなるだろう 「『ダメ』という言葉を『良い』に置き換えて、『問題』という言葉を『課題』として考えてみるのです。『どこがダメなんだろう』と自問すると、物事のダメな部分や原因の追及に考えが向き、自己否定につながりやすくなります。『どうすれば良くなるだろう』と考えると、解決に向けたアイデアが生まれやすくなります」 ・頑張らなければいけない→ベストを尽くそう 「『頑張れ』という言葉は自分を追い込みますが、英語では『Good Luck』とも言います。ある程度努力したら、あとは運に任せるという意味合いでしょう。このような言葉を自分に対して言うように試してみてください」  さらに、自分の性格や考え方のクセを把握したうえで、「行動をルール化」して実行することも大切だと付言する。 ・頼まれるとノーと言えずに仕事をたくさん抱え込む傾向にある→同時に受け持つ仕事は3つまで。それ以上は断ると決める ・常に仕事のことが頭から離れない→就寝前2時間はパソコンやスマホ、書類を閉じて仕事のことを一切考えずにリフレッシュする時間と決める 「置き換え言葉や行動のルール化をスマホやノートに書き出して、実行したかどうかも追って記録をしてみてください。セルフチェックや次の機会へのステップとして活用できるはずです」  次回は、「男性更年期障害の主因は精神的なストレス。男性ホルモンの分泌量低下は直接的な原因ではなく、単なるイチ症状です」と説く石蔵医師に、効果的なストレス解消法や定年前後にもおきやすくなる男性更年期障害を「疑似体験」できる方法などを聞く。 石蔵文信氏 (いしくら・ふみのぶ)1955年京都府生まれ。医学博士。内科・循環器・性機能専門医。イシクラメディカル代表。2001年に全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を開設。現在は「眼科いしくらクリニック」内で診療を継続。日本自殺予防学会理事も務める。夫の言動がストレスとなり妻の心身に生じる不調を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。定年後の男性のための料理教室や、社会活動の拠点となる「男のええ加減料理」や、子育て支援をしている祖父母世代がお互いに気楽に愚痴を言えるサイト「孫育のグチ帳~イクメンのグチもありよ~」も運営中。『夫源病』『定年不調』など著書多数。
うちの・さくら。フリーインタビュアー、ライター。2004年からフリーライターとして活動開始。これまでのインタビュー人数は3800人以上(対象年齢は12歳から80歳)。俳優、ミュージシャン、芸人など第一線で活躍する著名人やビジネス、医療、経済や一般人まで幅広く取材・執筆。趣味はドラマと映画鑑賞、読書
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