ニュース

中国共産党100周年習近平演説を読み解く/小笠原理恵「自衛隊の“敵”」

ほんのわずかな国防力増強の議論も阻む呪縛

 日本では防衛予算を増額するためには国民に理解と同意を求めなくてはならず、ほんのわずかな防衛費増額、軍事力を増強だけでも大変です。反対する野党議員に審議拒否され、防衛費増額の議論ではなくスキャンダルばかりを話題にされます。大切な軍事力の議論なんて国会ではまったく議論する時間を与えてくれません。  しかし、中国共産党は鶴の一声で大拍手を受けながら軍事力拡大を推進しています。この圧倒的な物量差が台湾海峡、南沙諸島、尖閣諸島に襲いかかってきます。一方、日本は唯一の頼みの綱である日米安保にすがりつくだけ……それではあまりにツライです。  国の防衛はまずは自国でどうにかするものです。自衛隊の応戦する力を増強するにも「ご理解」を頂かなければならないわけです。この悲しい現状に文句言っても仕方ないので、「ご理解」していただけるために記事を黙々と書いています(涙)。

国の防衛問題に対して国民は「無関心」

 今回、挙げる自衛隊の”敵”は、国民の「防衛についての無関心」です。  憲法を変えなくても予算増額は可能です。自衛隊は敵地攻撃能力どころか、国内防衛基盤すら心もとないままです。宮古島駐屯地が戦うための弾薬すら反対で運び込めなかった国です。ほかの離島はさらにひどい状態です。国内防衛にも弾薬や食料、消耗品の備蓄は必要です。国内での調達は簡単だと甘い予測を立て、平時の備蓄を怠ればいざというときには間に合いません。議論すらタブーだという空気を変え、せめて領土領海防衛だけは戦える体制を整えてほしい。この議論を許さない「呪い」も自衛隊の”敵”です。敵だらけですね(笑)  中国共産党は100年を迎えました。新しい時代に中国は歩みを進めるそうです。日本も敗戦後76年、四捨五入すると100年です。大雑把すぎますかね(笑)。次の時代に進めるために日本も呪いを打ち破りたいものです。悔しいですが、中国共産党100周年記念の演説から、国を守る軍隊に対して中国の捉え方を見ておきましょう。
次のページ
中国共産党は人民解放軍に何を期待しているのか?
1
2
3
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……


記事一覧へ
おすすめ記事