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中国共産党100周年習近平演説を読み解く/小笠原理恵「自衛隊の“敵”」

―[自衛隊の“敵”]―

習近平国家主席が宣言した軍拡

自衛隊の“敵”vol.03 写真「歴史を鑑に未来を切り開くとき、必ず国防と軍隊の近代化を急がなければならない。強い国には強い軍がなければならず、軍強くして初めて国家は安泰となる。党が銃を指揮することを堅持し、自らの人民の軍隊を建設することは党が血と火の闘争のなかで見出した揺るぎない真理である」  7月1日に行われた中国共産党100周年の記念式典で、習近平国家主席はこう演説しています。真正面から軍拡と近代化を推し進めるという強い宣言でした。  当コラムは「自衛隊の”敵”」という名の連載です。そう考えると、この中国共産党100周年記念行事に触れないわけにはいかないでしょう。やはり、周辺諸国のなかで日本の領土領海を一方的に「核心的利益」と呼んでいる中国共産党の動向は無視できません。 「強い国には強い軍がなければならない。強い軍があれば国家安泰だ」という内容は、とても日本では言えない「正論」です。心の奥底で日本人は「国防を強化できたら、周辺諸国からの軍事侵攻があっても安泰なのだけどなー」と考えていても、常に口に出せない空気が漂っています。この原因はおそらく「自虐史観」に起因するのでしょう。

安直な「軍靴の音がする」(軍国主義化する)という批判

 冒頭に掲げた習近平国家主席の演説部分をわかりやすく言うと、「強くなっていじめられないようになる!」という宣言です。日本人がストレートに口に出せない言葉を中国は世界に向けて堂々と宣言しています。「キミが強くなるなら、ボクも強くなって対等に戦えるようになる!」と日本が言い返せないのが悔しいです。  自衛隊を強化しようとすると、「軍靴(ぐんか)の音がする!」と国内世論に阻まれてしまう時代が続きました。手をこまねいて見ている間に、中国の国防費は日本の防衛予算の4倍以上。中国の海警局は排水量1万2000tクラスの大型巡視船も配備しており、自衛隊や海上保安庁は大きく差をつけられています。海警法を改正するなど、武力行使もあり得るという強いメッセージを発する中国とは対照的に、日本は少しずつ少しずつ防衛予算を「微増」させることしか許されません。その陰で、中国は海警局を人民解放軍の指揮下の軍事組織に組み込み、着々と南西諸島を奪う準備を進めています。  中国の「軍靴の音」の音は大音響で世界に鳴り響いています。この音に日本の世論は「軍靴の音が大音響で響いてくる!」と大騒ぎしてほしいものです。
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ほんのわずかな国防力増強の議論も阻む呪縛
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