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ネット上でお賽銭を募る「カミムスビ」は新手の神社ビジネスか?運営を直撃

神社本庁もネット参拝と賽銭は好ましくないと考えている

神社

※写真はイメージです

 後述するがオンライン参拝などネットを用いてお賽銭を納めたり祈祷を行うことは、多くの神社では容認していない。神社本庁に尋ねると、神社の総意ではないと前置きした上で好ましいことではないと答えるのは、ある程度神社に詳しい人ならば常識である。その上で、お賽銭機能を無断で実装した理由はなぜか。 「無断でやろうとは思っていませんでした。いくつかの神社には相談をしたのですが、話を聞いてくれた神社でも“反対も賛成もしない。黙認もしない”といわれました。お賽銭機能に参加したことで批判されるのが困るというのです。ならば、まずは機能を実装してみようと思ったのです」  やらかしを反省し「神社本庁には謝罪にいく予定でアポも取ってある」と話す電話の主。最後に、理事の一人の事業について尋ねると、こう話した。 「確かに彼から、過去にそうしたビジネスを行っていたことは聞きました。でも、この団体のこととは関係ないですし、自分たちも奇妙な歴史を主張しているわけではありません」  いくつもの取材の対応をしていたのか、疲れた声の電話の主は「事務所は個人の方に住所だけ置かして貰っていたのですが、そちらにも迷惑がかかってしまって……代表理事も東京にいるのですが住所を滋賀県のままにしていたせいで……」と語って電話を終えた。  

神社好きが起こした早とちりか

 結局「詐欺ではないか」と指摘され、なにか怪しげなビジネスではないかとも想像されたが、実情は随分と違った。ようは、さほど知識はないが神社を好きな複数人が、勢いだけで根回しも不十分なままに、最初から手広く初めてしまったのが騒動の原因であろう。もしも、ある程度神社の知識があれば、オンラインでのお賽銭の代行やデーターベース化は、とても実現不可能だと容易に想像ができる。  筆者もこれまで神社や信仰に関する文章を幾つか記しているが、時として大変な時もある。まず神社はそれぞれが独立しているので、神社本庁に入っている、いないに関わらずなにか取材する時には個別にアポを取らなくてはならない。撮影の際も写真が禁止されている範囲が神社によって異なる。 「カミムスビ」の場合、お賽銭機能以外に神社の情報をユーザーが投稿できるようになっていたが、ともすればほぼすべての神社で撮影禁止が当然のご神体の写真が投稿されることもあり得るし、由緒や行事日程なども正しいものが掲載されているかも責任が取れない(小さな神社だと、祭りの予定などは境内に掲示されているだけも当たり前である)。お賽銭機能以前に、情報を掲載された神社がカンカンになるのも当然といえる。
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なぜ問題化してしまったのか?
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