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郷ひろみがデビュー50周年に語った仕事の流儀

絶対に妥協はしない

――その時点で一切の妥協はしていないわけですね。 郷 絶対に妥協はないんです。あとから「こうした方がよかった」というのはあります。でもそれは成長の証なんです、僕の考えでは。むしろ成長していなかったとしたら、感じ方が変わらないかもしれないわけです。その時々で常に自分の中で責任を負っている、ベストを尽くしているという自負はありますね。「郷ひろみはいつでもやり切っているように見える」と思っていただけているのなら、要因はきっとそこじゃないかと思います。 ――私自身これまでに郷さんのライブを何度か現地で観させていただいていて、毎回のハイパフォーマンスに「郷さんはいつ見ても郷ひろみなんだ」と感じていたのですが、それもやはり一切の妥協を許さない姿勢があってこそ生まれるものなのですね。 郷 やっぱりステージというのは自分自身が一番力を発揮できる、水を得た魚(うお)のようになれる場所じゃないですか。お客さんはチケットを買って、わざわざその日にスケジュールを合わせて、時間も合わせて足を運んでくれる。その人たちのために100%の、いや100%以上のパフォーマンスを届けたい。  だからそのためにどうすればいいかというのは、準備の段階から当日まで常に考えていますね。もちろん、100%の準備をしても完璧にいかないときもあります。でも、それだけ準備しておくと、実は及第点は絶対に取れる。100点じゃなかったとしても、97、8点は取れるんですよ。  逆に70%しかリハーサルをせず、「こんな感じでいいかな」「あとは本番で30%」なんて思っていたら、絶対に出ない。これは僕の経験から言えます。70%の準備をしたら最高でも70点。80%だったら80点が限界。100%やって初めて、100点になるか、97点になるか、あるいはプラスアルファが出て110点が出る可能性も出てくる。でもそのプラスアルファは、100%やったからこそ出るものだと思うんです。だからリハーサルがいかに大事か、そしてそれ以前の日頃の積み重ねがいかに大事かということなんですね。  まあそうは言っても、振り返ればムダなこともたくさんしてきているんですけどね(笑)。10代20代、あるいは30代の途中くらいまでは、今思えば「甘かったな」と思うこともたくさんありましたから。

遠回りした経験も、人生のプラスにできるかどうかは自分次第

――様々な経験を重ねる中で、少しずつ変わってきたと。 郷 そうですね。若い頃はうまくいかないことだって今よりたくさんありましたし、随分ムダなこともしていたでしょうね(笑)。でも、一見ムダに思える経験も、遠回りした経験も、それを自分の人生のプラスにできるかどうかは、その後の自分次第だと思うので。経験を次に活かしながら、その時その時で考えられるベストを尽くす。日々それを繰り返していくしかないんじゃないかなと思います。 撮影/嶌村吉祥丸 取材・文/福田 悠
フリーライターとして雑誌、Webメディアに寄稿。サッカー、フットサル、芸能を中心に執筆する傍ら、MC業もこなす。2020年からABEMA Fリーグ中継(フットサル)の実況も務め、毎シーズン50試合以上を担当。2022年からはJ3·SC相模原のスタジアムMCも務めている。自身もフットサルの現役競技者で、東京都フットサルリーグ1部DREAM futsal parkでゴレイロとしてプレー(@yu_fukuda1129
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