デジタル

ファミコンのホラーゲームはチープな絵と音でもトラウマ級の怖さ。傑作5選

『スウィートホーム』

カプコン/1989年
スウィートホーム

限られたアイテムで生き延びるゲーム性も面白かったRPG『スウィートホーム』

 伊丹十三製作総指揮の同名映画にもとづいたRPG。呪われた館・間宮邸に踏み込んだテレビの取材班5人が、悪霊と化した間宮夫人に閉じ込められ、脱出を図ります。  なんだかんだで生き返れるRPGとは一線を画し、仲間キャラが死んだら復活は不可能というシビアなゲーム性がポイント。圧倒されるフレスコ画やグロテスクな敵など、ビジュアルもインパクト大で緊張感抜群! のちの『バイオハザード』にも大きな影響を与えたという話もある、初期ホラーゲームの名作です。

『悪魔の招待状』

ケムコ/1989年
悪魔の招待状

味のあるシュールなテキスト連発でバカゲーにも分類される『悪魔の招待状』

『悪魔の招待状』は、アメリカのPC向けホラーゲームをファミコンに移植したタイトル。『ディジャブ』(1988年)、『シャドウゲイト』(1989年)に続くケムコのアドベンチャー三部作です。  行方がわからなくなった姉を探すため、魔術師が怪物を召喚したという館へ足を踏み入れた主人公を待っていたのは……!? ファミコン期に人気があったコマンド選択式のアドベンチャー。ギャグ風味のテキストも多く、B級・C級映画感満載ながら、ビジュアルの恐怖レベルは高水準。小学生にとっては洋館に閉じ込められるというだけで十分怖いですよね。

『タイムツイスト 歴史のかたすみで…』

任天堂/1991年
タイムツイスト

随所に挟まるパズルやクイズが手強かった『タイムツイスト』

『タイムツイスト』は、ディスクシステム後期の知る人ぞ知る佳作アドベンチャー。名作『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島』(1987年)のスタッフが手がけています。主人公は悪魔に体を交換されてしまった少年。タイムトラベルする悪魔を追いかけ、さまざまな時代へ飛んでいきます。  1428年のフランスでジャンヌ・ダルクを救い、古代ギリシャで少年時代のアレクサンドロス大王を黄泉の国から連れ戻し、1864年のアメリカでリンカーンと出会う……歴史の裏側で何が起きていたのか? 人間の闇をも描くシナリオは刺激的。ラストも皮肉が効いていて「世にも奇妙な物語」を彷彿とさせるタイトルです。  このあと、スーパーファミコンで『弟切草』(1992年)、『かまいたちの夜』(1994年)が登場し、PS1で『バイオハザード』(1996年)がメガヒットしてホラーゲームが大きく花開きます。今回はまだホラーゲームの芽が出始めた頃のお話でした。<文/卯月 鮎>
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も
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