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ホスト、女性用風俗…“性”を切り売りして稼ぐ男たち。性処理扱いに病む若者も

多様な顔を求められて病む女性用風俗で働く若者

ぴえん

佐々木チワワ氏 写真/tsubasa_works12

 積極的に自身の“SEX=性”で稼ぐ代表といえば、現代は女性用風俗にほかならない。過去に出張ホストなどはあったが、非本番で料金設定も60分1万2000円程度、若いイケメンのセラピストが担当してくれることで、令和時代に爆発的に増えた新業態だ。 「正直、こんなに風俗の仕事がキツいと思っていなかった」 そうこぼすのは、都内の人気店で働いて半年になるハルキ(仮名・20歳)。コロナ禍で就職予定だった美容室が倒産し、生活資金を稼ぐためになにも知識もないまま業界の門をたたいた。店主による雑な説明と簡単な実践、そして講習料と登録料として僅かな貯金から“7万円”を支払いセラピストに登録。  もともと男社会や会話でのコミュニケーションが苦手だったというハルキは、女性用風俗なら「作業」をすればいいだけだと思っていたが、実際は違った。 「ホテルでのプレイよりも、“前後”のやり取りに時間がかかる。一度に多数の指名客、またはSNSの“予備軍”とやり取りするだけで、一日が潰れる……。常連客のなかには、自分に対しどこまで無料でサービスしてくれるかで、自分の女としての価値を試そうとする者もいる。そして何かあったら『客だろ?』って上から目線なのもキツくて……。あとは勃起してないと怒る客もいるので、精力剤を手放せなくなりました」

精神的消耗から安定剤を服用

 半年間で、ハルキは精神的消耗から、安定剤の服用を始めた――。ハルキのケースのように、女風客がセラピストの対応によって自分の「女らしさ」を確かめている側面として、セラピストが勃起しているかを確かめたり、本番行為をねだって応えてくれるかを見ている客がいる。彼女たちが利用する匿名掲示板では、「私はカワイイから本番(Sex)をしてくれた」「アイツはブスでもすぐ本番する」などの書き込みが目立つ。  こうしてみると結局、男を買い、主体的に性を開放するとうたわれていながらも、女性客はいまだに男根支配(ファロセントリズム)に囚われているとも取れる。男性からのまなざしを受ける前提での、身体表象の意識が内在している。  また、前回紹介した“推し”のために“女性性”を消費されながらも稼いでいるようなぴえん系女性のなかには、女風利用者を“ただ話を聞いてほしい”“ただそばにいてくれればいい”など、“男性性”を売っているセラピストに、女として見られること以上に理解を求めていることもある。  女風は今や、「男に女として扱われたい」という従来のステレオタイプの寂しい女性だけでなく、主体的に性を楽しみたい女性、男性に搾取されずに自分を満たしたい女性、ただそばにいてほしい女性など、多様な需要を満たす場になっている。それがたった60分1万2000円程度で求められるのであれば、ハルキが病むのも納得できる。  女性性・男性性を扱う夜のこうした業界は、いつの時代もそのとき人々が消費したいものを形にしてきた。次号ではそんな令和のぴえん世代が今「消費」し、ときには消費されてでも追い求めている価値観について考えていく。
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「ぴえん世代」新語辞典
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現役女子大生ライター。10代の頃から歌舞伎町に出入りし、フィールドワークと自身のアクションリサーチを基に大学で「歌舞伎町の社会学」を研究する。歌舞伎町の文化とZ世代にフォーカスした記事を多数執筆。ツイッターは@chiwawa_sasaki

「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認

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