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悩める10代のサードプレイス?歌舞伎町にたむろする“トー横キッズ”の正体

テレビ、週刊誌で今年春以降に報じられることが増えた「トー横」をご存じだろうか。コロナ禍でも路上飲みをし、自傷行為に援助交際……etc.混沌とした“病み”スポットを、15歳から歌舞伎町に通い続けティーンの生態を追う現役女子大生ライターが解き明かす!

自傷行為、援助交際「トー横」は生きづらさを抱える10代の救い

ぴえん

佐々木チワワ氏

「佐々木さん、トー横キッズの専門家として、彼らの生態を教えてください」  そう、求められることがこの夏に一気に増えた。“トー横キッズ”とは、歌舞伎町の新たなシンボルとなったゴジラが吼える「新宿TOHOビル」(旧コマ劇場)、その東側の路地でたむろする若者たちのことだ。  黒を基調にした服装に、男女ともに濃いめのアイラインを入れる“精神の病み”を表現した通称「地雷系」のスタイルが多い。コロナ禍だろうが関係なく、ストロング系チューハイ、エナジードリンクを大量摂取しながらスマホを片手に騒ぎまくる。  急性アルコール中毒、薬物によるオーバードーズで救急搬送されるのも彼らの日常。また前回触れた未成年カップルの自殺に、未成年誘拐事件など、ニュースでも彼らの存在を見る機会が増えてきた。

“トー横”界隈のルーツ

 私は’18年から初期メンバーらと交流し、その経緯を知っていることからメディアで“専門家”的な扱いを受けている。この連載をいただいたのも、そんな理由だ。では、トー横で生きる彼らは、一体どのように誕生したのか。  ルーツは、自撮りをする若者たちのSNSにおける“#(ハッシュタグ)”からはじまった。「#自撮り界隈」「#裏垢男子」「#1㎜でもいいとおもったらRT」などをつけて投稿する通称・自撮り界隈の男女が、“オフラインで交流する際の待ち合わせ場所”としてトー横を使いはじめたのだ。  自撮り界隈にはバーテンダーがいたことから、集まったメンバーたちの店が開く前の“0次会”の場所になり、そこに歌舞伎町の住人であるスカウト、営業時間外の売れないホストも合流したことで、混沌とした路上飲みの場所として変化したのが初期の流れだった。  コミュニティとして路上が成立すると、彼らは自分たちのことを「トー横界隈」と名乗りはじめる。中にはフォロワー数が数千人を数えるインフルエンサーもおり、前述した地雷系ファッションで投稿。SNSに楽しそうに路上で遊ぶ様子を投稿や配信し続け、歌舞伎町の外までその認知度は広がっていったのだ。
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トー横が悩める10代のサードプレイスとして機能
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現役女子大生ライター。10代の頃から歌舞伎町に出入りし、フィールドワークと自身のアクションリサーチを基に大学で「歌舞伎町の社会学」を研究する。歌舞伎町の文化とZ世代にフォーカスした記事を多数執筆。ツイッターは@chiwawa_sasaki

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