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自己主張が強すぎるモンスター新入社員。専門家に聞く行動心理と対策

職場で自己主張が強すぎる社員に対して、専門家の見解は?

法務省 回答してくれたのは、法務省・保護司の池田正興氏。池田氏は保護司として活動する傍ら、問題行動を起こす青少年の矯正教育・犯罪被害者のグリーフケアなどについて大学講師もしている。  A子の特徴をまとめるとこうだ。 ・職場で明らかに浮いたファッション ・すぐにバレる嘘をつく ・人への執着心が強い ・同僚の評価を下げようとする 「話を聞いた範囲での推測になりますが」と前置きしつつ分析してくれた。 「社会の中での人間関係・自分の立ち位置をハッキリさせたい人なのでしょう。“曖昧さ”を許さないという性質を感じます。客観的・哲学的な思考ができず、二者択一する時の意思決定が自分の世界だけで判断されている。それが第三者から見ると、“自己表現がまずい人・自己中心的な人”となるんです」  池田氏いわく、人間には曖昧(両義的)な考えが必要という。白か黒かでなく、グレーもある。そういった考え方がA子はできないのだろうと指摘する。 「自分の行動に対して相手がどう思うか考えられられず、一方通行でしかコミュニケーションを取れない。彼女にとっては自分の行動だけが事実で、『私はこうだ』と直進的なのでしょう」  社会人として相応しくないファッションも、「曖昧さを拒否するため」と池田氏は分析する。

依存しているから攻撃する

モンスター新人「大元を考えていくと、A子は愛着障害の疑いがあります。自尊感情が無く、自分に自信が無いんです。そういう人は、服装や外見に個性を出すことで自分が認められると思っています」  愛着障害とは、幼少期に親(養育者)との間で適切な愛着関係が形成されず、情緒や対人関係に問題が生じる状態をいう。親に甘えさせてもらえない・褒められないといった経験や、DV・ネグレクトの経験があると、愛着障害を生じやすいとされている。 「愛着障害を持つ人は、人間関係における好き嫌いも極端です。自身に対して明確に『好き』と言う人には好意を持ち、何も言ってくれない・無関心な人は『嫌い』の部類に入る。Bさんに対するエピソードには、この性質が色濃く出ています。『この人は私の味方である。依存できて甘えられる。自分の掌中にある』と。しかし愛着障害の人は両義性(ひとつの事柄が相反するふたつの意味を持っていること)も強いので、愛情が憎悪に変わっていった可能性があります」  可愛さ余って憎さ百倍ということだろうか。周りに悪口を吹聴する行為も、自己防衛からきているそうだ。
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社会と向き合えない若者たち
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福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0

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