お金

借金500万円男。金もないのにボートレースでさらにスッカラカンになる

5000円あれば戦える……はず

ボートレース平和島

ボートレース平和島 写真/SPA!編集部

 久しぶりのレース場は喫煙スペースがほとんど排除されていた。ここ2年ほどでパチンコ屋も公営ギャンブル場も随分と様変わりした。タバコを美味いと感じたことはあまり無いが、金を賭けている時の口寂しさは確かにあった。  到着した時点で平和島は5Rを迎えていた。一日12Rまであるので残り8レース戦える。  ボートレースは合計6艇で買い目が少ないので100円からでも楽しめる。5000円は十分遊べる金額だ。  着いて早々、喫煙所を探しながらモニターのオッズ表を見つつ、麦茶を買った。自分が買える最初のレースはどれだけ情報不足だろうと買いたい。これでようやく平和島競艇場に「入場」したことになる。  タバコを吸い、いそいそとレースを見に行く。無難な買い方をしたが、外れた。最初のターンでほとんど結果が決まるので、自分の予想した番号の艇が前に出なかったのを確認したら、すぐに次のレースの情報を見る。40分に1レースのスピードで進むから忙しい。  レース自体は3分もかからないからゴールの瞬間まで待てばいいのに、残りの2分ですら次の予想に使いたくなる。どうせ大した予想も出来ず、何ならタバコも吸いに行くのだが、神妙な面持ちで予想新聞を睨みつける。  ここから3レース、僕は立て続けに外した。久しぶりのボートだから運も溜まっているだろうと思っていたが、1着2着が当たるのに3着目が決まらない。そこで 「3着目の分の金をケチったからダメだったのか」  と3着目を全通り買ってみると、今度は1着目を外す。これがボートレースの恐ろしい部分だ。どんな負け方をしても「惜しかった」と思わせる。競馬と違って6艇のうち3艇の組み合わせを当てるだけなので、当たろうが外そうが予想と結果の雰囲気が似ることは多い。 「レース展開は予想通りなのにあと少しのところで外してしまう。ツイてないな」  僕は2人にこう言ったのだが、思い返すほどに恥ずかしい。6艇しかないから予想と結果は近くなる事がほとんどであるにも関わらず、僕の言い訳は達人の間合いで負けたかのような言い草だった。何なら達人のような顔をしていた気もする。

4レースを目前に種銭が切れる

 4レース目は買わなかった。5000円が無くなったからだ。「ボートレースで遊ぶ」という目的を考えれば、1レースあたりの賭け金をいくらにすればいいのかなんて簡単に逆算できる。そんな簡単なことを、いつも負けてから思い出す。 「ここまでの負けを噛み締めるために牛丼を食べる」  と伝え、場内の吉野家で黙々と牛丼をかき込む。運命を呪い、味がしない牛丼を七味唐辛子で覆った。帰ってしまえばよかったのだが、入場料の100円が癪に触る。  100円の価値を守るため、僕は財布から虎の子の5000円を取り出した。こうなるのはわかっていたので家にキャッシュカードを全て置いてきた。  すぐに僕を裏切る自分に対しては、手を先に打っておくべきなのだ。
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なけなしのカネに手を付ける
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フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩

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