お金

借金500万円男。自分への誕生日プレゼントは「ホームレス生活とサヨナラ」

―[負け犬の遠吠え]―
ギャンブル狂で無職。なのに、借金総額は500万円以上。 それでも働きたくない。働かずに得たカネで、借金を全部返したい……。 「マニラのカジノで破滅」したnoteが人気を博したTwitter上の有名人「犬」が、夢が終わった後も続いてしまう人生のなかで、力なく吠え続ける当連載は62回目を迎えました。  今回は誕生日にホームレス生活とサヨナラしたお話です。

誕生日を迎え齢を重ねた9月

アパート

写真はイメージ

 人間が勝手に決めた暦では9月になった。不思議なことに、それを察するように気温も下がった。  夏が終わり、冬が来る。今年ももう終わりが見えてきて、人はまた一つ歳を取る。  秋の始まりに誕生日を迎えた。30歳が見えてきて、子供の頃の夢を何一つ叶えられなかった罪悪感から毎年この日が憂鬱なものになるかと思っていたが、それほどの悪感情はなかった。紆余曲折の無い、ただただ真っ直ぐに、工夫もなく、金を返すためだけに働いた一本道。振り返ったところで思い出すのは足が重かった記憶だけだ。芋虫の走馬灯でもまだマシな景色になるだろう。  そんな密度のない一年を見返してみてもそれほど気にならないのは、とても強い「まあいっか」の精神が育ってしまったからかもしれない。競争に負け、屈辱の味だけを鮮明に忘れず、楽をし、ついには競争に参加すらしなくなり、自分は競走馬では無く愛玩馬なのだと言い聞かせ、下から上を無理矢理見下ろした。その成れの果てが僕だ。  諦めは麻薬のように闘争心を蝕んでいき、切磋琢磨の心を失い、顔つきと言葉尻だけが廉価版ひろゆきのようになり、自由人を自称し始める。何が悲しくてそんな滑稽な生き物になってしまうんだと、数年前の僕なら多少は思っていたかもしれない。  自己成長を望まないなんて、せっかく人間に生まれてきたのにもったいない、と。  でも、もうだめだ。競争に参加しない自分を正当化するには、上っ面でも余裕そうに見せなければ、努力を否定し続けなければ、この姿勢は嘘になる。  まあいっか、ナンクルナイサ、ハクナマタタがスローガンだ。これは頑張れない大人にとっての友情、努力、勝利にあたる。

誕生日が憂鬱にならなかったワケ

 誕生日がそれほど憂鬱にならなかった要因としてもう一つ、働いていないというのは大きかったかもしれない。特に僕は元々接客業の畑にいたので、サラリーマンを辞めるまでは 「誕生日だから休みます」  ができなかった。脱サラするまでの誕生日はいつも終電を逃し、会社の周りを徘徊しながら特別な非日常がないか探し、そう都合よく面白いことも無いのでタクシーに高い金を払ってしまっていた。  コンビニで贅沢をし、寝て起きて、身内のおめでとうLINEに返信して加齢の儀式は終わり、だった。底辺漆黒接客業からの卒業の余韻は、三年近く経ってもまだ残っている。フリーターの僕は今年の誕生日を完全な休みとした。これが本当の自由だ。人間だ。泣けてくる。
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ホテルを転々としていたが……
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