更新日:2021年11月01日 09:48
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巨人を応援する阪神ファンの姿を見て思う「野党共闘」の難しさ/相澤冬樹

“反対”ではなく“希望”のための共闘

 野党共闘はなぜ敗れたか? 僕は補選後、宮本さんを取材してたずねた。 「野党は安倍政権批判、大阪では維新批判を繰り返してきましたけど、安倍政権は長く続いていますし(当時)、補選では維新の候補が勝ちました。安倍政権が国民の多数に、維新が大阪府民の多数に、支持されていることを認めるところから始まるのではないですか? 安倍さんや維新より“いい夢”を有権者に見せることができていないんです」  すると宮本さんはじっと考えて答えた。 「もっと“いい夢”を見せる……その通りだね。反対だけでなく、安倍さんではない新しい選択肢を示さなくちゃね。『こっちの方がもっといいよ』の戦略だね。反対のための共闘ではなく、希望のための共闘。そのために野党がわだかまりを捨てて一つになれるかどうかだね」  最後に、選挙戦で一番うれしかったことをたずねたところ、宮本さんは「これまで私とは反対の立場に立ち、私が批判してきた方から『支持する』という声を寄せて頂いたことです」と答えた。その代表が、元文部科学事務次官の前川喜平さんだ。  前川さんは「面従腹背」と言うだけあって、現職の事務次官時代は下村文部科学大臣(当時)の下で政権側にいたから、国会で宮本さんと散々やり合った。それなのにこの時の選挙では「信頼し、尊敬する政治家です」というメッセージを送ってくれた。 「対峙してきた方々から応援していただける。政治家冥利に尽きます」  この言葉に野党共闘のヒントがあるように感じる。宮本たけしさんは今回、大阪5区から共産党公認で立候補。公明党の前職、国重徹さんに挑む。立憲民主党は候補を取り下げたが、れいわ新選組は大石晃子さんを独自候補に立てた。やはり共闘は難しい。ちなみにこの選挙区は、森友学園の元理事長の妻、籠池諄子さんも立候補して話題になっている。

「衆院選で最も重視するテーマ」トップは森友再調査

岸田総理への手紙を記者会見で掲げる赤木雅子さん

岸田総理への手紙を記者会見で掲げる赤木雅子さん

 今回の総選挙で何を訴えると一番効果的だろうか? ヤフーニュースの「みんなの意見」というコーナーで「衆院選、あなたが最も重視するテーマは?」というアンケート調査が行われている。19の選択肢から1つのテーマを選ぶ方式で、10月21日朝の時点で37万人を超える人たちが投票。衆院選公示を前に急増しているから関心の高さを物語る。結果を見ると……。 1位 「森友問題の再調査」 11万人余 30.7% 2位 「外交・安全保障」 6万8000人余 18.4% 3位 「経済・成長戦略」 4万8000人余 12.9% 4位 「コロナ経済・補償対策」 3万人余 8.2% 5位 「憲法改正」 2万3000人余 6.3%  森友再調査がダントツのトップ。安全保障や成長戦略、コロナなど、選挙の最重要テーマになりそうな項目をはるかに上回って、全体の3割を占める。しかも森友再調査は、数多い選択肢の一番下の方にあるから、選ばれにくいはずなのに1位に躍り出た。アンケートは世論調査ほどの厳密さはないが、共同通信の世論調査でも「再調査すべき」という回答が6割以上を占めた。
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よみがえった“亡霊”は選挙を左右するか?
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メディアの闇 「安倍官邸 VS.NHK」森友取材全真相

森友事件スクープの裏側を、忖度なく書きつくす!!

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