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「戦争は非常に“さびしい”ですね」ロシア総領事がもらした精一杯の言葉

―[取材は愛]―

大阪のロシア総領事館に、地元有志が申し入れ

在大阪ロシア総領事に申し入れ書を手渡す木村真豊中市議

在大阪ロシア総領事に申し入れ書を手渡す木村真豊中市議

「戦争はさびしい」  在大阪ロシア連邦総領事、テルスキフ・アレクサンダーさんがもらした一言だ。「悲しい」とか「いけない」ではなく、「さびしい」。今、ロシアの外交官として言える精一杯の表現なのだろう。  ロシアの総領事館が大阪のどこにあるか、ご存じだろうか? アメリカ、中国、韓国はすべて大阪市に領事館を置いている。だからロシアも大阪市内だろうと私は思っていたが、違った。大阪府北部の豊中市にあるのだ。  閑静な住宅街のど真ん中に、高い塀で囲われた建物がある。その前を24時間警察官が警備している。これがロシアの総領事館だ。以前は大阪市内にあったが、広い敷地を求めて移転したという。 「せっかく地元に領事館があるのだから」と、豊中市内の有志が「とよなか日ロ交流協会」の設立準備を進めている。事務局長を務めるのは豊中市議会議員の木村真さん。  この名前、森友事件に詳しい方はピンとくるかもしれない。森友学園に売却された豊中市内の国有地だけ、財務省が金額を公表しないのはおかしいと、2017(平成29)年2月8日に裁判を起こしたのが木村市議。これが森友事件の発火点となった。でも、今この話には関係ない。  木村市議は大阪外国語大学(現在は大阪大学に統合)のロシア語学科を夜間コースで卒業した。ロシアに留学したこともある。地元で日ロ交流協会を立ち上げようとした矢先に、今回のウクライナ侵攻が始まった。  何もせずにはいられないと、急きょ申し入れを行うことにした。電話で総領事館に打診したところ「3月18日の正午に来てほしい」と返事があった。時間を指定するということは、中に入れて面会するつもりがあるということだろう。

すぐに戦争はやめてほしいという願いを込めて

申し入れ書に目を通す総領事に内容を説明する木村市議ら

申し入れ書に目を通す総領事に内容を説明する木村市議ら

 当日は、あいにくの雨の中、交流協会のメンバー5人と、木村市議から連絡を受けた筆者の計6人が総領事館前に集まった。警備の警察官には事前に総領事館から連絡があったようで、名前の確認と荷物検査を済ませるとスムーズに館内に入ることができた。私は記者だと伝えていたのに、総領事館が入るのを許可したのは意外だった。  立派な階段を2階に上がり、部屋の奥の応接セットに案内された。ロシアの国旗とマトリョーシカ、それに和装女性の人形が飾られている。テルスキフ・アレクサンダー総領事が現れると、木村市議はさっそく日本語とロシア語で用意した申し入れ書を手渡した。 「いかなる理由があろうとも、武力によって問題の解決を図ることは許されません」 「ウクライナに暮らす人々が命を奪われ、家を失い、故郷を追われている現状は、とうてい看過できるものではありません」 「ロシアと日本との間の市民レベルでの交流を進めるために活動している私たちにとって、残念な気持ちでいっぱいです」 「ロシア政府に対し、ウクライナにおける戦闘行為をただちに中止し、速やかに軍を撤退させること、対話と交渉による問題の平和的解決を図ることを、強く求めます」  何はともあれ、犠牲者をなくすために戦争はすぐやめてほしいという願いを込めた。
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総領事は、ロシア政府の言い分とそっくりの内容を答えた
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