「維新、イラン!」を掲げる、大阪のから揚げ店主を直撃した
―[取材は愛]―
客商売の飲食店が、強烈な政治的主張
それはほんの偶然だった。何気なく見ていたツイッターのある投稿が目を引いた。
「これ、凄いですね」
見てみると、ほんとにスゴかった。
店のガラス戸に貼られた張り紙に、大きく目立つ「維新、イラン!」の文字。その横に「美章園飲食店組合は 大阪維新の会を絶対に許しません」と書いてある。
批判の言葉はよく目にするけど、「絶対に許しません」というのには揺るぎなき確信を感じさせる。でも客商売の飲食店が政治問題で発言するのはリスクが大きい。特定の政党を「支持する」というならまだしも、「許さない」とまで断言するとは。ましてここは大阪、維新の本拠地で根強い人気がある。一体どんなお店のどんな店主が掲げているのだろう? ツイッターでは店の看板や人を写していないので(おそらく配慮して)わからない。でも興味を持つ人は多いようだ。6000を超える「いいね」がつき、3000以上リツイートされている。記者心がうずいた。野次馬根性とも言う。これは行くしかない! 【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られますこれ、凄いですね。
— umikaze (@umakazesakai) October 25, 2021
美章園の飲食店組合さんの貼り紙らしいです。 pic.twitter.com/A0Mw51x408
「アイツら、命が生まれてくる機会を奪っているからや。緊縮政策でな」
さっそくその日(10月26日午後)、JR阪和線に乗り美章園駅に向かった。大阪市南部の阿倍野区にある。ここで降りるのは初めてだ。線路沿いに商店街を歩いていくと、あの張り紙がすぐ目についた。
「から揚げや まーちゃん」。店の奥で数人の店員さんがおいしそうなから揚げをジュウジュウ揚げている。お客さんがひっきりなしに訪れて「から揚げ5個ちょうだい」「皮せんべいも」。揚げるはしから次々に売れていく。商売繁盛のご様子だ。
店主らしき男性に声をかけた。
「この張り紙ですけど」
「あ~これな。そのまんまやろ。維新はアカン、イランねん」
店主は十倉雅宏さん(38歳)。店名の「まーちゃん」は雅宏という名前から付けた。ゴリゴリの保守を自任する。
「ワシは天皇主義者やからな。紀元節には毎年お祝いするんや。わかるか? 紀元節」
「建国記念日ですよね、2月11日」
その“ガチ保守”で天皇主義者の十倉さんは、なぜ「維新が絶対に許せない」のか?
「それはな、アイツら、命が生まれてくる機会を奪っているからや。緊縮政策でな。あれのおかげでみんな生活苦しなって、子育てができへん、子どもが生まれてこんやろ。それは天皇陛下の赤子が生まれてこんようにしとるんと同じや。だから許せん」
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無所属記者。1987年にNHKに入局、大阪放送局の記者として森友報道に関するスクープを連発。2018年にNHKを退職。著書に『真実をつかむ 調べて聞いて書く技術』(角川新書)、『メディアの闇 「安倍官邸 VS.NHK」森友取材全真相』(文春文庫)、共著書に『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』(文藝春秋)など
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