更新日:2022年01月23日 07:02
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アニメ『鬼滅の刃』無限列車編から「キメツ学園」まで!炎柱・煉獄杏寿郎の魅力に迫る

「無限列車編」での煉獄杏寿郎

 アニメ「無限列車編」には、煉獄の表情や仕草がよくわかる場面が描かれている。焦点がややわかりづらい目が特徴的で、口角はキュッと上げていることが多く、鬼殺隊屈指の実力者として自信に満ちた静かな表情を浮かべている。 「炎柱(えんばしら)」のトレードマークである、炎の意匠をあしらった白いマントをたなびかせ、冷静にかつ素早く状況を判断し、鬼からの被害をおさめていくその姿は、まさに「英雄(ヒーロー)」そのものだ。劇場版とアニメでは乗客を抱きかかえて救出する場面が追加され、頼りがいのある彼の様子が印象的だった。  しかし、炭治郎と頭を寄せ合い眠り始めた場面では、煉獄は軽く口を開け、あどけない顔をしていた。煉獄杏寿郎はまだ20歳なのだ。

母を亡くした悲しみ、父とわかり合えない寂しさ

 やがて、下弦の壱の鬼・魘夢(えんむ)の血鬼術(けっきじゅつ=鬼の特殊能力)によって、煉獄は自分の家族をめぐる「悲しい過去の夢」を見てしまう。寝入り始めの時とはちがい、眉間にシワを寄せ、表情をかたくした。  戦闘中には「強く優しい子の母になれて幸せでした」と涙を流した母の顔を思い出し、この亡き母との約束をはたすために、「立派な炎柱」であろうとした。だが、父の言葉は母とはちがい、「柱」であることを喜ばないものだった。煉獄の苦悩が深まっていく。  しかし煉獄は「寂しさ」にとらわれても、取り乱すことはなかった。目を見開き、耐え、悲しみの言葉を飲み込むのだった。
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劇場版来場特典『煉獄零巻』
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1977年和歌山県新宮市生まれ。神戸大学国際文化学研究推進センター協力研究員。大阪市立大学文学部国語・国文学科卒。大阪市立大学大学院文学研究科前期博士課程修了。神戸大学大学院国際文化学研究科後期博士課程修了。博士(学術)。専門は伝承文学、神話学、ドイツ民俗学。著書に『「ドイツ伝説集」のコスモロジー -配列・エレメント・モティーフ-』(鳥影社)、共著に『はじまりが見える世界の神話』(創元社)、『「神話」を近現代に問う』(勉誠出版)など

鬼滅夜話

キャラクター論で読み解く『鬼滅の刃』


ニュースサイト「AERAdot.」の人気連載・『鬼滅の刃』のキャラクター分析記事を大幅に加筆した『鬼滅夜話』待望の書。2020年12月から始まった神戸大学研究員の植朗子氏による分析記事は、配信されるたびにSNSで話題となり鬼滅ファンからも認知されているようになった人気連載。SNSでの「単行本で読みたい」という声にお応えし、大幅加筆&キャラクターも追加! 炭治郎や禰豆子、鬼殺隊の「柱」メンバー、鬼たちのセリフや行動の裏にあるものとは!? 全352ページで読み応えもたっぷり。鬼滅ファン必携の書!

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