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『鬼滅の刃』遊郭編後半の見どころと宇髄天元の魅力

―[鬼滅夜話]―
 いよいよ『鬼滅の刃』アニメ2期・遊郭編も大詰め!鬼殺隊一ド派手で美しい男・宇髄天元(うずい・てんげん)のカッコ良さに釘付けになった視聴者も多いのでは?声優・小西克幸氏が演じる宇髄の兄貴肌な性格、色気、優しさ、苦悩の表現からも目が離せない!  『鬼滅の刃』の分析本として話題を呼ぶ『鬼滅夜話』(きめつやわ)の著者であり、人気連載をもつ植朗子さんに特別に寄稿してもらい、宇髄の真実と遊郭編後半の見どころを語ってもらった!
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『鬼滅の刃』9巻(ジャンプコミックス)より

【ご注意下さい!】この記事には、漫画『鬼滅の刃』のネタバレが含まれます。

音柱・宇髄天元のキャラクター

   音柱・宇髄天元の遊郭編での初登場シーンでは、潜入捜査に蝶屋敷(=胡蝶しのぶの邸宅)の少女たちを連れて行こうとして、炭治郎たちと揉め事になった。しかし、宇髄は年下の隊士たちとワイワイ騒いでいるだけで、上官である「柱」として無理矢理命令を下したり、腕力で言うことを聞かせたりはしなかった。  宇髄は後輩剣士たちを叱ることはあるが、その場を華やかにするような、明るくユーモアのある話し方が特徴的である。    しかし、その一方で、宇髄は時々無言になることがあった。宇髄は元・忍だったこともあり、ポーカーフェイスでいることも、嘘をつくのも、とても上手にやってのける。整った顔立ちに、冷めているような表情を浮かべ、苦悩や苦痛を表に出すことはかなり珍しい。  あれほど気さくに仲間たちと話しているにもかかわらず、なんとなく「本心」がどこにあるのか分かりづらい人物なのだ。

周囲を助けることに尽くす宇髄

   自らを「祭りの神」と自称し、場を盛り上げる宇髄であるが、彼のセリフには、嘘も虚勢もハッタリも本音も混ぜこぜになり、語り口が目まぐるしく変化する。同じ柱である煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)とは対照的だが、これも宇髄ならではの魅力といえるだろう。  遊郭の戦いで、鬼の上位実力者である「上弦の陸」の堕姫・妓夫太郎兄妹に、自分の妻と善逸がさらわれた時、本来であれば、鬼殺隊側の人員は多いほど有利であるにもかかわらず、宇髄は炭治郎と伊之助だけでも逃がそうとした。 〈消息を絶った者は死んだと見做す〉(宇髄天元/9巻・第75話「それぞれの思い」)  そんなことを言いながら、宇髄は「後は俺一人で動く」と、危険な任務を自分だけで続けようとする。「死んだと見做す」という言葉とは裏腹に、宇髄は他者の救出のために、自分の命は平気で賭ける人物であることがわかる。 「お前はもう何もしなくていい」(9巻・第77話)、「まきを 須磨 遅れて悪かったな」(9巻・第79話)、と優しく妻たちをねぎらう宇髄の名セリフがいくつもあるが、遊郭編後半、妻の最大の危機の際に、宇髄がいつものポーカーフェイスを崩す場面は、見どころのひとつだ。宇髄の熱い心を読み取ることができる。
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宇髄の弱音
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1977年和歌山県新宮市生まれ。神戸大学国際文化学研究推進センター協力研究員。大阪市立大学文学部国語・国文学科卒。大阪市立大学大学院文学研究科前期博士課程修了。神戸大学大学院国際文化学研究科後期博士課程修了。博士(学術)。専門は伝承文学、神話学、ドイツ民俗学。著書に『「ドイツ伝説集」のコスモロジー -配列・エレメント・モティーフ-』(鳥影社)、共著に『はじまりが見える世界の神話』(創元社)、『「神話」を近現代に問う』(勉誠出版)など

鬼滅夜話

キャラクター論で読み解く『鬼滅の刃』


ニュースサイト「AERAdot.」の人気連載・『鬼滅の刃』のキャラクター分析記事を大幅に加筆した『鬼滅夜話』待望の書。2020年12月から始まった神戸大学研究員の植朗子氏による分析記事は、配信されるたびにSNSで話題となり鬼滅ファンからも認知されているようになった人気連載。SNSでの「単行本で読みたい」という声にお応えし、大幅加筆&キャラクターも追加! 炭治郎や禰豆子、鬼殺隊の「柱」メンバー、鬼たちのセリフや行動の裏にあるものとは!? 全352ページで読み応えもたっぷり。鬼滅ファン必携の書!

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