ウーバーイーツ配達員「コロナ収束で稼げない」。報酬300円の注文ばかり
今年10月頃からだろうか。ウーバーイーツ配達員への報酬が大幅に下げられてしまった。それまで東京都内で配達1回当たり平均500円くらいだった報酬がジャスト300円ばかりになってしまったのだ。私のようにウーバーイーツの配達をメインの収入源としている者にとってはそれが大きな死活問題になっていた。
配達であるマンションに行ったときのこと。そのエレベーターの中でウーバーイーツの宅配バッグを背負った他の配達員の男と鉢合わせになった。目が合うと、彼のほうから私に話しかけてきた。
「“スリコ”ですか?」
「ええ、スリコですよ。スリコ、スリコ、ずーっとスリコです」
「まったく、やってられないですよね」
彼はそう言うと、ふうッと深くため息をついた。スリコというのはスリーコインズの略であり、配達員の間で300円の報酬を嘆くような意味合いで使われている。
ここ最近は配達で何キロ走ろうが、どれだけ時間がかかろうがほとんど関係なく、報酬はジャスト300円ばかりになっていた(ピークタイムだけは4〜500円と多少ましになることもあるが……)。
運営は報酬について「配達に費やす予定の時間と距離、および商品の受取場所や届け先が複数あるかどうかを基に算出される」としている。が、その具体的な計算方法は示していない。いったいどういう計算をしたら300円ばかりになるのか。本当にふざけるな! という怒りしか湧いてこない。
運営内でこんなやり取りがされているのがありありと目に浮かぶ。
「売上が大幅に減少してきていますね」
「それじゃあ、しばらくの間、配達の報酬は一律300円にしよう。それで報酬は配達の距離や時間を基にして算出してますとか言っておけばいい」
「し、しかし、それでは……」
「ああ、大丈夫、大丈夫。どんなに報酬を下げてもやる奴はやるから。まったく便利な連中だよ。わーはっはっは!」
真相は定かではない。
配達の報酬は300円の“スリコ”ばかり
怒りしか湧いてこない
編集プロダクションを退職後、アルバイトを転々としながらウーバーイーツ配達員に。たまにライターの仕事も請け負っている。幕末マニア。
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