お金

借金500万円男。借金の金額を30万円間違えて猿芝居を打つ

残額を確認すると……

 以上の持論を踏まえた上で、残念なことに僕はそれでも意思が弱い。被害者意識を抑え込もうとしても、ふとした瞬間に芽生えることがある。少し立ち止まってしまうこともあるだろう。  話は戻るが、そんな弱い自分が制約を守るためには多少の余裕があっても捧げるべきではなかった。僕は強引に話を替える。 「そういえば、今の残りの返済金額を確認したいのですが」  その弁護士事務所が担当しているのはUFJニコスのクレジットカードの返済だった。もちろん2枚とも使えない。会員資格を喪失してから2年が経っていた。裁判所からの決定通知から計算すると、残りの金額は約53万円。  まあわかってはいたのだが、こうして定期的に実際の金額を照合すると利息の関係で少しズレていることがたまにある。  裁判を経て、利息を止める代わりに絶対に返済を遅らせてはならないという約束をしたので、本当に利息が止まっているのかも確認したかった。もう二度とクレジットカードは使えない。その代償に手に入れた赦しの形を・・・

あれ? なぜ30万円もの開きが!?

「あーちょっと待ってくださいね、担当部署にお繋ぎしますので」  電話をたらい回しにされるこの感じが懐かしい。催促担当部署、個人情報管理部署、お客様窓口。 「もしもし、本人確認のため、お客様の生年月日とお名前、住所を教えていただけますでしょうか」  何度も個人情報を口で伝えてきたおかげで、引っ越してからすぐに自分の住所を暗唱できるようになった。多重債務者が抱える砂漠ほど大きな絶望の中にある、砂粒ほどの得だ。金を借りるために自分の銀行口座の番号も暗唱できるし、チャンスを逃さないために支店の名前も支店番号も言える。 「えーっと、現在時点で残り876,054円です」 「ええ?」  声が出てしまった。30万円もズレている。なんだ?詐欺か? 「それ本当ですか?もう一度言いますね、生年月日は……」  ほとんどお茶濁しのために替えたはずの話で脳を揺さぶられた。エクセルで計算しているはずの僕が、そんな間違いを犯すわけはない。 「はい。876,054円です」 「ちょっと待ってください、それはおかしい。だって僕は……ちょっと待っててくださいね」
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フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩

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