お金

借金500万円男。借金の金額を30万円間違えて猿芝居を打つ

請求書に書かれた「1枚目」の文字

 僕は引っ越しの段ボールの中に眠っていた裁判所からの通達書を確認した。確かに1枚目にクレジットカードの分の請求は60万近くと書いてあった。  1枚目?  恐る恐る2枚目を見ると、そこには全く同じような紙があった。「キャッシング枠30万円」の文字。てっきり、改めて僕の名前とか裁判所の担当官とか、そういう名前が書いてあるだけだと思っていた。裁判所から最後の手紙を受け取った時、1枚目だけを見て「こんなものか」と都合よく納得してしまったのだろう。  さて、間抜けは僕だったわけだが、さも間違っているのは自分ではなく相手だという雰囲気を醸してしまった以上、簡単に引き下がるわけにはいかない。それからしばらく猿芝居を続けた。 「今紙を見たんですけど、60万くらいで書いてありましたよ。どういうことですか?」 「あー、それはですね、多分ショッピング枠だけではないでしょうか?こちらキャッシング枠と合わせて876,054円です。」 「え?キャッシング枠……?」 「そうですね、合わせましてこの金額です」 「どういうことですか? うん、まあでもそういうことだと言うのであれば信じましょう。もうこれ以上言い返すつもりはありません。87万円で手を打ちます。それでは」

ダサい……僕はダサい

 本当にどういうことかわからない。早口だったのも、譲歩した姿勢を見せたのも、一回とぼけたのも、この時の僕は全てがダサかった。  激ヤバなクレーマーも、元はただの人間だったのかもしれない。人はくだらない見栄のために獣になることがある。頭に血が上った時ほど立ち止まって自分の身の振り方を考えるべきなのだろう。 文/犬
―[負け犬の遠吠え]―
フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩
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