更新日:2021年12月17日 09:47
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おじさん構文「~カナ?」でわかる“実は繊細なおじさん心理”。日本語学者が解説

おじさん文章ジェネレーターを使って分析

おじさん構文

筆者がホステス時代に客から受け取ったLINEは、こんな具合だ

 ここで松浦氏に、例文を使っておじさん構文の分析を試みてもらった。使用する例文は「おじさん文章ジェネレーター」を使って作成し、筆者がホステス時代に客から受け取ったLINEに近いものを選んだ。 (なおチャン、お早う(顔文字)今、何をしているのカナ(顔文字)⁉ 俺は、近所に新しくできた、バー(絵文字)に、行ってきたよ。味は、まぁまぁ、だったかな!) 「まず、何をしているのカナ⁉ は『あなたを気にしていますよ』のアピールです。絵文字を使うことで雰囲気をやわらげようとしています。俺は~以降の日記のような文章は、会話や行動のきっかけを生み出したいのでしょう。本当は、『バーに一緒に行こうよ』ってストレートに誘いたいんです。でも直球だと断られるかもしれないから、遠まわしに表現しているんですね」  おじさん側の心理としては、「私もバー好きなの。連れて行って」などの回答を求めているという。女性に対して自分語りの日記や脈絡の無い褒め言葉を送るのは、承認欲求ゆえだと松浦氏は語る。

実は繊細なおじさんたち

デート「人間には本来、自分を認めてほしい欲求と、自分の領域に踏み込まれてほしくない欲求があります。それらを調整しながらコミュニケーションを行っているんです。この言語行動に関する配慮の意識を、“ポライトネス”(※2)と言います。おじさんたちも意識的・無意識的に欲求を調整して交流を図ろうとしていますが、若者から見ると違和感を覚えるんです」  女性と仲良くなりたい気持ちと、拒絶されて傷付きたくないという自己防衛。このバランスの歪さが若者に嫌悪感を与えるのかもしれない。 「おじさんたちは寂しいのではないのでしょうか。どんな形でもいいので、若い人と接点を持ちたいのでは? 私自身も、うまくコミュニケーションできているか、不安になることがありますよ(笑)」  おじさん構文の裏に秘められた、おじさんたちの哀愁。ホステス時代に数々のおじさんLINEを受け取り、時にはうんざりしていた筆者だが、心理を知った今なら少しは優しくなれる……かもしれない。 ※2 Brown, P. and S. C. Levinson. (1987). Politeness: Some Universals in Language Usage. Cambridge: Cambridge University Press.(田中典子 監訳(2011)『ポライトネス—言語使用におけるある普遍現象』東京: 研究社.) <取材・文/倉本菜生>
福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0
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