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メガバンクの危機は“10年に一度”のサイクルを知っていれば当然の話

大幅な店舗削減と人員減が計画されているメガバンク

銀行メガバンク3社はもともと24年までに大幅な店舗削減と計3万人以上の人員減を計画していましたが、今回のコロナの影響により顧客のデジタルシフトが加速し、計画達成が後押しされることになりそうです。 MUFGでは、当初17年度末の515店舗に対して35%の店舗削減目標でしたが、40%減の約200店舗削減へ改め、人員数は6000名程減少を計画。SMFGは非金利収益を強化、これまでのフルサービス店舗の割合を減少させ、個人コンサルティングに特化した面積の小さい軽量店舗へ入れ替えることで2200人分の業務量を削減。これに加え、本部人員の3割削減を掲げ、23年までに6000人の減少を目指しています。みずほFGでは、17年に約500あった店舗数を24年までに130店舗削減、26年までに1万9000人の人員削減を見込みます。

「絶対潰れない」と言われた銀行も、10年後は無事ではない

このような既存のフルサービス店舗と人員削減を各社計画している中、コロナ禍は、不要不急の外出を避ける顧客のデジタルシフトを促進、計画実行を加速する契機になり得ます。 実際、19年のMUFGでは、スマホやPCによるオンライン振込は44%増加、実店舗利用は2%減となり、顧客側の実店舗利用頻度は下がっています。このようなデジタルや非対面チャネルへ顧客がシフトしていくことにより、利用数が少ない店舗が鮮明となり、閉店対象店舗の選定がより容易になります。それに伴い、店舗人員の減少も現在の計画値より上振れることも有り得ます。 【参考:コロナが人員削減を後押し…銀行と銀行員はこれから〝本当の地獄〞を見る PRESIDENT Online(2020年6月16日)】 かつては大蔵省による「護送船団方式」で守られ、絶対に潰れないと言われていた銀行ですが、すでに1990年代末に相次いで経営破綻しその神話はとっくに終わっていました。そして、コロナショックでトドメ。どう考えても10年後に無事でいられる業界ではないのですが、未だに銀行就職を目指す若者がいるのには本当に驚きます。日本の歴史教育においては、平均10年に一度やって来る経済危機はなかったことになっているのでしょうか。経済におけるサイクルを知らないことで実際に被害を受けるのは若者なのでとても心配です。
1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中
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