お金

ファミマ、コンビニスイーツ戦争に挑む商品開発の苦心。新作は週2、3ペース

常に新しい発見や気づきを与えられる売り場が大事

 また、ファミリーマートは毎週新作スイーツを2〜3商品発売している。なぜ、スイーツの新商品を出し続けているのだろうか。  杉本さんは「商品のサイクルを早く回さないと、お客様に飽きられてしまう」と理由を話す。 「スイーツというカテゴリーの特性上、流行りに敏感でかつ、季節を感じやすいものになっています。なので、スピード感持って新商品を投入することで、常に新しい発見や気づきを与えられるような売り場づくりを目指しているんです」  加えて、商品開発についても、過去に出した商品をさらによくできると判断した場合には「構成は変えずに原料や製法をアップデートし、再度発売する場合もある」と杉本さんは言う。 「具体的な例で言えば例年人気の高い『安納芋のスイートポテトタルト』は、原料の芋から見直し、糖度の高い別の品種の芋で仕立てた時の相性が良かったので、シーズナルの商品として昨年は『紅はるかのスイートポテトタルト』を販売しました。ただ、流行りのピスタチオやキャラメルといった流行りの味種(フレーバー)などのアイデアはたくさん出せますが、最終的にはお客様の手にとってもらえるかが大事だと思っています。  定番商品は普遍的なところは変えず、より美味しさを追求していくことを大切にしています。とっておきの商品の場合は、弊社のDX部門と連携し、味種を調査しながら細かく商品開発を行うようにしていますね」

家族のように寄り添える商品を作りたい

ファミリーマート デザート担当の杉本さんは、常にアンテナを張りながら、スイーツ情報のトレンドを収集しているそうだ。  街中を歩くことはもちろん、周囲から話題のスイーツを教えてもらったり、TVに出ている有名なパティシエのSNSアカウントをフォローしたりと、あらゆるところから情報を得るように心がけているという。  ちょっとでも気になったスイーツは、全国各地から取り寄せ、実際に食べてリサーチをしているとのこと。  ヒット商品を開発するには、地道な努力の積み重ねが必要となるのかもしれない。  最後に、今後の展望について杉本さんへ伺った。 「ファミリーマートのスイーツカテゴリーは5年連続で前年比を上回っており、お客様からも『とても美味しい』『定番化してほしい』とお褒めの言葉も多くいただいています。なので、これからも強みである手作り感を生かし、懐かしくも安心で美味しい商品を世に出していければと思います。コロナ禍で新しい生活様式が定着しつつありますが、ファミリーマートの理念である『地域の家族のような存在』のように、お客様に寄り添える商品を作っていきたい」 <取材・文・撮影/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
1
2
3
おすすめ記事