ニュース

常軌を逸したロシア軍のウクライナ原発攻撃。核兵器開発をでっち上げるため?

―[今週の顔]―
 もはや狂気の沙汰としか言いようがない。ロシア軍によるウクライナ南東部にあるザポリージャ原子力発電所への攻撃。国連安全保障理事会の緊急会合では、「無謀で危険な行為」「福島の被害を超える可能性がある」と、各国が強く非難するも……ロシア代表は「真実ではない」と取り合わない姿勢を貫く。
常軌を逸したロシア軍の原発攻撃

稼働中の原発に軍事攻撃するのは史上初めて。ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアは核テロに走った」「欧州の歴史を止めかねなかった」と糾弾 写真/ウクライナ政府当局のフェイスブックより

当初からプーチン大統領は原発を狙っていた

 だが「当初からプーチン大統領は原発を狙っていたかもしれない」と語るのは拓殖大学教授の名越健郎氏だ。 「ウクライナ国民への警告と、ゼレンスキー政権を揺さぶるのが狙いです。ウクライナは電力の65%を原発に依存しており、今回、攻撃されたサポリージャ原発はそのうちの40%を担っている。電力の供給が止まり、停電が多発すれば、市民生活に深刻な影響が及ぶ。  さらにプーチンは開戦演説で『犯罪者たちを裁判にかける』『ウクライナは核兵器保有までも求めている』と言及したように、ウクライナが秘密裏に核開発をしていると疑っており、原発の使用済み核燃料を裁判の“証拠”にする思惑があるのでしょう」

核兵器使用の危機も高まる

 原発だけではない。核兵器使用の危機も高まる。ウクライナ軍の激しい抵抗に遭い、苛立つプーチンは核兵器の「特別態勢」を指示した。 「実際に核使用に踏み切るかは、プーチンの理性に懸かっているが、彼は精神状態が尋常でない可能性もある。ただ、核を使用するとなれば、犠牲者が出ないようなエリアでの小型の戦術核にとどめるはず」  3月5日現在、停戦交渉は合意に至らず、両者の隔たりは大きい。 「そもそもプーチンは『侵攻しない』『攻撃は軍事施設に限られる』『占領はしない』などと言っていたが、すべて嘘だった。停戦交渉も、戦略を立て直すための時間稼ぎとみていい。ウクライナ軍の士気を低下させる意図や欧米に対して交渉する姿勢を見せるとエクスキューズにもなる。つまりロシアの停戦交渉は、停戦のためのものではないのです」  誰がプーチンを止めるのか? ======
次のページ
さらに世界から孤立も
1
2
週刊SPA!3/15号(3/8発売)

表紙の人/ 佐久間由衣

電子雑誌版も発売中!
詳細・購入はこちらから
※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める!
おすすめ記事
ハッシュタグ